経営革新計画でマスコミを活用する3つのステップ

経営革新計画

 新規事業を展開する際に計画を立案し、都道府県が行う審査を通過し、都道府県知事の承認を得る、という制度が経営革新計画の承認制度です。当制度は中小企業支援策の中でもヒット作と呼ばれており、承認を得ると以下のようなメリットがあります(埼玉県の場合。各都道府県で一部メリットが異なるケースがあります)。

  • 計画実行のための専門家派遣
  • 販売アドバイザー(企業OB等)の派遣
  • (株)日本政策金融公庫による融資
  • 中小企業信用保険法の特例(債務保証)
  • 県制度融資(経営革新計画促進融資)
  • 県ホームページでの紹介(自社サイトにリンクを貼ることも可能)

 この他に、革新的な取組に対して、補助率1/2~2/3、上限1,000万円が補助される「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(もの補助)の審査において加点になるというメリットもあります。

 これらのメリットは表だったメリットですが、一般に知られていないメリットとしてマスコミ対策ができる、というものがあります。今回のコラムでは、どのようにしてマスコミ対策を行うべきかを見ていきます。

1. マスコミを活用するステップ

(1)経営革新計画の承認書を取得する

 とにもかくにも、まずは経営革新計画の承認を取得する必要があります。弊社含めコンサルに支援を依頼すると一般に30万円程度の費用がかかります。ですが、地元の商工会や商工会議所の会員として専門家派遣制度を活用すれば、金銭面の負担なく、経営革新計画の承認を取得することが可能です。

 ただし、経営指導員の判断で経営革新計画の作成が不要とされたり、事業者が希望した専門家ではない専門家の支援を受けざるを得なかったりするリスクがあることは認識しておく必要があります。

 弊社のこれまでの実績から判断しますと、新規事業に関してノーアイデアから始まった場合、5回程度のご面談で承認取得が可能な経営革新計画が出来上がるといった印象です。

(2)計画内容の要約版を作成する

 前述の通り、経営革新計画の承認を取得すると、都道府県知事から承認書をいただくことができます。つまり、その経営革新計画の内容は都道府県知事が認めたということです。これを活用して、埼玉県吉川市で事業を営む雑貨の小売業である有限会社バラエティストアーカマニでは、マスコミに働きかけた結果、新聞に掲載され、業績を大きく向上させました。

 また、私が福島県の須賀川商工会議所で登壇した際の受講生、吉田インコさんが運営する帽子屋インコ帽のお店も同様に地元の新聞に取り上げられました。

 事業の社会性をアピールできることが、経営革新計画の承認取得における隠されたメリットです。これをマスコミ対策に活用することで、大きな成果に繋がる可能性が高まります。

 そこで、経営革新計画の内容や承認を取得したことを1枚の紙にまとめます。その内容は概ね以下を盛り込んでいると良いでしょう。

  • 自社の自己紹介
  • 経営革新計画の内容とその社会性
  • 今後の抱負
  • 会社概要(経営者の写真含む)

 その上で、下記へ連絡します。

(3)県政記者室へ連絡し、投函する

 各都道府県には、原則として各都道府県庁に「県政記者室」が設置されています。これは、取材する報道各社の記者が、共同会見などの取材活動や相互親睦を目的とした詰め所です。埼玉県の場合は、県庁の1階に県政記者室があり、ここに報道各社のポストがあります。下図は埼玉県における県政記者室です。

 事前にこの県政記者室に連絡をして、このポストにニュース素材を投函したいこと、投函しに行く予定の日時、準備するべき部数(ポストの数プラス受付スタッフの数)を訊きます。その上で、当日に県政記者室へうかがいます。

 当日は、都道府県知事からの承認書のコピーと前述した計画書の要約版を持って行きます。一部を受付の方へお渡しし、その後、報道各社のポストに投函し、各社からの取材申込を待つことになります。

 報道各社の記者は、ニュース素材に飢えています。その中で社会性のある事業は格好のニュース素材となります。ここでいう社会性は都道府県知事が認めた事業計画に基づく事業展開をしていくこととなった、という点を指しています。

 前述の有限会社バラエティストアーカマニは、新聞社11社にFAXを送付して、マスコミに取り上げられましたが、県政記者室の活用により、多くのマスコミに取り上げていただく可能性が高まります。

 今回のコラムでは、隠された経営革新計画のメリットを享受する3つのステップとして、(1) 経営革新計画の承認書を取得する、(2) 計画内容の要約版を作成する、(3) 県政記者室へ連絡し、投函する、を挙げました。コロナ禍で業績が厳しい中、打開策のひとつとして活用していただければと思います。

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