ある飲食店の応対から学ぶ客単価と利益を向上させる方法

客単価向上

 2020年最初の出張は京都の福知山でした。先日、現地で仕事を終え、宿泊先のホテルからご紹介いただいた居酒屋さん、喜ぶん屋 偶達(きぶんや ぐうた)さんへ夕食を取るために伺いました。

 今回のコラムでは、この店舗の対応を通じて、飲食店が客単価と利益を向上させる方法について見ていきます。

席の移動を依頼される

 ホテルから徒歩数分のその店舗へ1人で入店した私は、カウンターの奥から2番目の席に陣取りました。写真の矢印の部分です。

 最初に頼んだビールを飲みつつ、お通しをつまみながらメニューを見ていると、カウンター内の店舗スタッフが「すいません、一番奥の席に移動してもらっていいですか」と声を掛けてきました。まだ時間が早く、店内の顧客は私だけなので、席を移動する理由が分からなかったのですが、言われるまま、一番奥の席に移動しました。この移動を依頼した理由を、私は後ほど理解することになります。

繁盛店の共通点

 頼んだ料理が一通り出され、カウンター内の店舗スタッフの手が空くと、そのスタッフは「こちらのお店は初めてですか」と声を掛けてきました。

 あちこちの居酒屋さんに行って、つくづく実感するのですが、1人で居酒屋さんに入店して、店舗スタッフが顧客と会話をしようとする店舗は、ほぼ間違いなく繁盛店です。この店舗も案の定、私が入店後、2時間以内に9名の顧客が矢継ぎ早に入店してきました。

 この声掛けをきっかけに、私が埼玉から来たこと、この店舗は開業3年目であること、近所の神社で御朱印がもらえること、当地はスナックが多いことなど、様々な会話ができました。

 ここで、私は席の移動を依頼された理由に気付きます。最初に座った奥から2番目の席は、目の前にネタケースがあり、カウンター内のスタッフとの会話がしにくい席でした。ところが、一番奥の席は目の前にネタケースがないため、カウンターと顧客を遮るものがありません。つまり私は、店舗スタッフと会話をしやすい位置への移動を依頼されたことになります。これは、予め店舗スタッフに会話をしようという意図があったということです。

飲食店での会話が持つ意味

 一般に、人は食べながらよりも飲みながらの方が、話すことは容易です。異業種交流会に参加するとよく分かるのですが、盛り上がる交流会は、話が弾むので料理が減らず、飲み物ばかりが減っていきます。

 そして、多くの飲食店は食べ物よりも飲み物の方が、利益が出る価格設定になっています。よって、会話をすることは、飲み物をたくさん飲むこととなり、客単価も利益も上がることとなります。また、料理は一定量を食べてしまうと追加オーダーは困難ですが、飲み物の場合は、気分次第で追加オーダーが可能です。

 そこで話し相手のいない1人客に対して、店舗スタッフが意図的に会話を仕掛けることとなります。顧客にとっては、時間を持て余すこともありませんし、現地の様々な情報に触れることもできます。店舗と顧客がwin-winの関係になることができます。

 京都は福知山の居酒屋さんの応対は、積極的な会話により、顧客満足を高め、飲み物の追加注文を促進させることにより、客単価と利益を向上させるというものでした。なお、会話が苦手なスタッフがいて困っているという経営者は以下のコラムをご参考にしてください。
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