ガソリンスタンドで給油中に発進してしまう事故を防ぐ2つの視点

 各地で相次ぐ高齢ドライバーの交通事故。先日は、香川県丸亀市のエネオス系ガソリンスタンドで、給油中の車両が急発進し、建物のガラスを突き破るという、とてもとても恐ろしい事故がありました。

 この事故で、従業員2名と、ドライバーの69歳男性が怪我を負いました。警察によると、ドライバーは、給油作業が終了したと勘違いして発進、そしてアクセルを踏み込み過ぎたということです。

 今回のコラムでは、この勘違いにより給油中に発進してしまう事故をいかに防ぐべきか、その方法を見ていきます。

事故を防ぐ視点1:ソフト面からのアプローチ

 まず、勘違いが持つパワーについて述べたいと思います。かつて、私がガソリンスタンドに勤務していた頃、顧客から松阪牛を頂戴したことがありました。それを持って帰宅すると「じゃ、今夜はすき焼きにするね」と妻が発言。その後、夕食時を迎えた食卓にはグツグツ煮えた鉄鍋がありました。

 私は、鉄鍋の中の煮えたお肉を箸に取り、溶き卵につけて口の中に運びました。それは、魂が叫ぶような美味しさです。「さすが松阪牛。口の中で溶けるわ-」と言った私に、妻が言いました。

 「あなたが今食べたのは、冷蔵庫の中にあったスーパーのお肉。これを処分してから松阪牛を入れようと思っていたんだけど…」

 しかし、間違いなく口の中でホロホロと溶けたのです。勘違い・思い込みというものは、冷蔵庫内の余ったお肉を松阪牛に変えるというゴジラ顔負けの力まで持つのです。そして、勘違いすると、給油中でも躊躇なく発進する、これも勘違いのパワーです。

 実際は給油中でも、給油が終わったと勘違いすると躊躇なく発進してしまうドライバーを私も目の前で見たことがありますが、勘違いするときは、様々な条件が揃っています。このときに揃っていた条件は下記の3点です。

 ①3,000円分の給油を依頼され、受注時に既に3,000円を受け取っていたこと(給油終了後に会計をする必要がなかったこと)
 ②店内が混雑していて、スタッフの顧客に対するフォローが薄かったこと
 ③忙しい中、当該車両の窓を拭き終えて、窓を拭き「終えた」という雰囲気をスタッフが出したこと

 つまり、これらの条件が揃わないようにすれば、給油中に車を発進させる可能性が低くなります。手っ取り早いのは、①を防止するために、先にお金を受け取らない、クレジットカードは給油後に返すなど、給油終了後に会計することをルール化することです。

 もちろん、②を防止するために人員を充実させて「もうすぐ給油が終わりますから、お待ちください」などといった顧客へのフォローをしたり、③を防止するために「終えた」感を出さないように心掛けたりすることも必要です。

 重要なことは、このような条件が揃ってしまうと勘違いする、とスタッフで共有することです。「えっ?うちは給油時に発進するような顧客はいませんよ」と他人事として捉えてしまう方もいるかもしれません。ですが、怪我人が出てしまってからでは遅いことは言うまでもありません。

事故を防ぐ視点2:ハード面からアプローチする

 あるガソリンスタンドでは、顧客の勘違いによる給油中の発進を防ぐため、給油を開始した後に、給油中であることが分かる大きめな腕章のような形状のものをドアミラーにかけています。

 給油が終了すると、この腕章をスタッフが取り外し、会計を行います。よって、ドアミラーに腕章があると給油中、それがないと給油終了ということが、雰囲気ではなく、視覚的に分かります。

 重要なことは、腕章を使うなど視覚に訴求している点です。そして、勘違いを防止することは、顧客も店も救われる、ということです。
 
 ガソリンスタンドで給油中に発進してしまう事故を防ぐ2つの視点として、ハード面・ソフト面からのアプローチを見てきました。この両面からのアプローチは、事故防止だけでなく、売上の向上や人材の確保といった課題解決のアプローチとしても有効ですので、ぜひご活用下さい。

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