無能な店長が増加する3種類の質問

人材育成

 「はい。油外は私が売ります…」十数カ所のガソリンスタンドを展開する、ある会社の店長会議の席上で、その店長は苦しげな、苦しげな口調で言いました。

 同社は月初めに1回、全店長を集め、店長会議を開催します。その主な議題は、洗車やタイヤなどガソリン以外の商品である油外商品の販売に関するものです。この場で各店長は、前月の振り返りと今月の取組みを全員の前で発表します。

 そして、同社社長は、前月の業績と今月のスタートダッシュが芳しくない店長の発表には、必ずツッコミを入れます。社長からのツッコミに答えるとそれにツッコミが入る。この繰り返しで最終的に、ほとんどの店長は冒頭の発言になるのです。

 衆人環視の中、社長からの質問が、単なるツッコミだったり、吊し上げを目的としたものであれば、店長はまず、その場をどう切り抜けるかということしか考えません。よって、冒頭の発言のような短絡的なものになりがちなのですが、問題は社長が、その答えで良し、と考えているきらいがあることです。

 本来、社長が発するべき質問は、本人に力や気付きを与え、中長期的な業績に繋がるものであるべきで、ツッコミや吊るし上げは、無力感や短期的な視点しか与えず、無能な店長が増える可能性を高めてしまいます。

 今回のコラムでは、どのような質問が店長を無能にするのか、そして、どのような質問が店長を育てていくのかを見ていきます。

無能な店長が増加する質問1:店長を責め立てる

 「アルバイトが売れないなら誰が売るんだ?」などと社長が鷹のような目でツッコミを入れたら、店長は「私が売ります」と答えざるを得ません。このように言わせた時点で、本来マネージャーである店長に、プレイヤーになると宣言させたことになります。

 マネージャーとはマネジメントする人、つまり経営資源を管理し、効果を最大化する人です。これに対して、プレイヤーとはプレイする人、つまり、販売する人です。社長は店長に対して、店長にしかできないマネジメントという仕事をさせなければなりません。

 マネジメントができていないのであれば、できるようにする必要があります。本社は店長を責め立てるのではなく、支援する機能を保有していることを伝える必要があります。そのための質問例として以下が挙げられます。

 「目標を達成するために、本社ができることは何ですか?」
 「この会議の場は、店長が何を言っても受け入れる場だと認識していますか?」

無能な店長が増加する質問2:店長の無能さを強調する

 「目標未達は何ヶ月連続だっけ?」大勢の人の前で、このような質問を受けて、奮発して頑張ろうと思う店長は決して多くはありません。逆に恥をかかされたと感じ、若手であれば退職を考える方が出てくるかもしれません。

 どんな店長でもその人ならではの強みがあるはずです。重要なことは、店長の強みを発揮させるために、まずは、その強みに気付かせ、それを活かすことです。そのための質問例として以下が挙げられます。

 「君が持っている業績向上のノウハウのうち、現状で活かすことができるものは何ですか?」
 「君が販売において、得意としている油外商品は何ですか?」
 「君の強みを活かすために、明日からどのような行動を起こしますか?」

無能な店長が増加する質問3:店長の視点を変えていない

 「その取組みで目標達成できるのか?」このような質問は店長と同じ視点での質問ですので、店長の視点が変わりません。

 業績が向上しない原因のひとつに、店長の視点が石のように固定化され、多面的かつ中長期的に物事を捉えていないケースが少なくありません。具体的には、現状の前提条件や、内部環境、また目の前の業績にしか目が向いておらず、新たな発想ができないケースです。

 よって、現場から離れている本社が、多面的かつ中長期的な視点から質問を投げかけることにより、店長に気付きを与えることが可能となります。そのための質問例として以下が挙げられます。

 「もし、経費予算が倍額使えるとしたらどのような使い方をしますか?」
 「年末にこれまでの目標未達分を取り返すには今から何をしますか?」
 「競合の油外商品の販売はどのようにやっていますか?」
 「最近の顧客動向で変わったことはないですか?」

 可能であれば、店長を育てるための質問は、衆人環視の下で投げかけるのではなく、店長会議の前に投げかけておき、じっくり考えさせて、その答えを会議の場で発表させると良いでしょう。

 今回のコラムでは、無能な店長が増加する3種類の質問として、1.店長を責め立てる、2.店長の無能さを強調する、3.店長の視点を変えていない、を挙げ、育成に効果的な質問の例を挙げました。これを参考に、店長会議が業績低迷を加速させていないか、経営陣は振り返ってみることをお勧めします。

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