雨の日を活用したガソリンスタンドの売上向上策

戦略の考え方

 せっかくの週末、書き入れ時に雨。昨日の日曜日は、広い範囲で雨にたたられ、売上が散々だったガソリンスタンドも多かったのではないでしょうか。特に月末の日曜でしたから、販売目標達成まであと少し、最後の日曜に何とか何とか目標まで…と思っていた店舗は、目が眩むほど悔しい思いをしたと思います。

 ガソリンスタンドの客足は、雨の日にガクンと落ちてしまいます。ですが、指を咥えて顧客を待つだけでは、天候に振り回されるだけになってしまいます。

 そこで、何とか売上に繋げようと、雨の日にワイパーやウォッシャー液、油膜取り作業などを売り込もうと頑張るガソリンスタンドが多い印象がありますが、今回のコラムでは、雨の日を活用したより効果の高い売上向上策を見ていきます。

雨の日はパンクする可能性が高まる

 タイヤの主要な原料はゴムですが、タイヤメーカーによると、タイヤは5年を超えて使用すると、古い輪ゴムがひび割れてくるように、タイヤのゴムも劣化してきます。

 タイヤが新しいうちはゴムの弾力性が高いため、釘やガラスの破片を踏んでも路肩にはじき飛ばせます。ですが、劣化したタイヤは、釘やガラスの破片を踏むと簡単に刺さってしまいます。そして、雨の日は、釘やガラスの破片を踏む可能性が高くなります。

 道路は、たとえアスファルトであっても、長年車両が走行しているとタイヤの跡である「わだち」ができます。道路を水平方向から見ることができたとしたら、W型になっている、ということです。

 雨の日は、路肩の釘やガラスの破片が、この「わだち」に流されてきます。この流されてきた釘やガラスの破片を、劣化したタイヤで踏むと刺さってしまい、パンクしてしまう、ということです。

「なぜ」を訴求する

 この「雨の日はパンクする可能性が高まること」をガソリンスタンドに勤務している方はご存じであっても、多くの一般ユーザーは知りません。

 そこで、なぜ雨の日はパンクする可能性が高まるのかをチラシに印刷して、雨の日に来店された給油客にハンドアウトします。そして、パンクしていないかどうかを確認するために空気圧点検をした方が良いこと、空気圧点検は無料でいつでも承っていることを告知すれば、雨の日当日であれ、翌日以降であれ、空気圧点検のニーズが高まります。

 空気圧点検の台数が増えれば、パンクしたタイヤや溝が摩耗したタイヤが見つかる可能性が高まり、パンク修理やタイヤ交換で収益が高まるでしょう。

 この告知手法は、メール会員制度やメールマガジンを取り入れている店舗であれば、チラシではなく、メールで一斉配信をしても良いでしょう。

 重要なことは、なぜ雨の日、もしくはその直後に空気圧点検が必要か、その理由を訴求する、ということです。これと同じ考え方で、雨の日でもしっかりと売上を確保している飲食店があります。

「なぜ」を訴求している飲食店

 この飲食店は、雨が降ると他店同様に客足が落ちます。そこで、雨の日はディナーの割引をしていますが、なぜそのような取組みをしているのか、以下の内容を、雨の日当日に顧客へメールでお伝えしています。

 「雨が降っているため、客足が少なく、冷蔵庫内の食材が余りそうなんです。捨てるのは、とてももったいないので、ディナーをお安く提供しています。お時間があるようでしたら、ぜひご来店ください。」

 これは、単に「雨の日割引中」と訴求するよりも説得力があります。それは「なぜ」割引するのかが明確だからです。「売上が欲しいから」という理由は、店舗側の都合です。しかし、「食材の廃棄を避けたいから」という理由は、店舗側の都合の他に、環境への配慮という社会的な意味合いも含まれるため、顧客の来店動機が刺激される可能性が高まることとなります。

 今回のコラムでは、雨の日を活用したガソリンスタンドの売上向上策として、「なぜ」雨の日やその直後は空気圧点検が必要かを訴求することを挙げました。天候に左右されない売上を得るために、天候を有効活用していただけたらと思います。

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