量販店の隣接するガソリンスタンドがタイヤ販売を促進出来た理由

戦略の考え方

セルフに転換したものの業績は変わらず

 そのガソリンスタンドは、もともと客数が非常に多く、ピーク時には1,000㎘に届こうかという燃料油の販売量で、洗車収益が油外収益の柱となっていました。

 近隣には、全国展開するタイヤ量販店が立地しており、地域の顧客は、タイヤならその量販店、ガソリンや洗車ならそのガソリンスタンド、という形で使い分けをしていました。

 そのガソリンスタンドは、諸々の理由により、燃料油の販売量が落ち込み、油外収益も減少してしまい、セルフサービスに転換したものの、状況は変わりませんでした。そこで、その店舗の運営会社は、他店で業績を向上させた店長のA氏に再建を託し、そのガソリンスタンドに赴任させました。

タイヤ量販店に着目する

 A氏が着目したのは、近隣のタイヤ量販店の存在でした。タイヤ量販店との差別的優位性を打ち立てることができれば、タイヤ販売で業績の落ち込みをカバーできるのではないか、と考えました。

 そのガソリンスタンドはX社製のタイヤを取り扱っており、タイヤ量販店は全メーカーのタイヤを取り扱っています。A氏はタイヤの卸売業者に依頼して、そのタイヤ量販店がX社製タイヤをいくらで売っているのか、販売価格を調査していただきました。
 その結果を受け、1本あたりの販売価格をタイヤ量販店と合わせるようにしました。

まとめ買いがお得な価格設定

 さらに、A氏は、4本のセット価格として端数を切った価格設定をしました。
 仮に、X社製のあるタイヤが税込10,800円/本、交換工賃が税込1,080円/本だとします。4本交換だとタイヤ代は10,800円×4本=43,200円、交換工賃は1,080円×4本=4,320円、合計で47,520円となりますが、端数を切って、4本工賃込みの価格は47,000円とします。

 このような形で売れ筋のタイヤに関しては、端数を切った価格の一覧表を作成しました。1本あたりの価格と工賃は、タイヤ量販店と同価格ですから、4本まとめて買うとタイヤ量販店より安いことになります。

 ちなみに、このようにまとめ買いをすると1本だけ買うよりも単価が安くなるという価格設定方法をマルチプル・ユニット・プライスと言います。

タイヤ量販店が有名であればあるほど当店のタイヤが売れる

 このような価格設定をした上で、タイヤ販売に注力しました。顧客が給油中にタイヤの空気圧を点検し、溝がすり減ったタイヤを見つけると、上記の価格表に記載されている顧客のタイヤサイズと価格にマーカーを引き、それを手渡します。

 その際には「そこのタイヤ量販店よりも安いので、是非ご検討下さい」「もし疑われるのなら、この価格表を持って、比較してきて下さい」と言います。そのタイヤ量販店は、テレビコマーシャルも行っており、安いイメージを顧客に植え付けていただけに、この声掛けは威力を発揮しました。

 結果として、燃料油の販売量は引き継いだ当時とほとんど変わらないにも関わらず、タイヤの販売量は倍増し、油外収益も向上することになりました。

 量販店の隣接するガソリンスタンドがタイヤ販売を促進出来た理由は、差別的優位性を打ち立てるとともに、タイヤ量販店の知名度を活かしたことである、と言えるでしょう。近隣の強者は活用する余地がたくさんあると言えるでしょう。

タイヤ販売に関する参考コラム

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