タイヤ交換の事故をガソリンスタンドが販売に活かすためには

戦略の考え方

増加する大型車のタイヤ脱落

 今年10月29日の日本経済新聞によると、トラックやバスなど大型車の車輪脱落事故が増加傾向にあります。2017年度において、このような事故が発生したのは67件であり、前年度より11件増加しました。この67件のうち83%を占める56件が11月以降に発生しています。

 脱落の推定理由は、ナットの締め付け不良や、タイヤ交換から一定距離を走行した後の増し締めをしていないなどの作業ミスであり、これらは上記67件のうち91%を占める61件に上っています。

 脱落したタイヤが左後輪だったケースは、上記67件のうち83%を占める56件となっています。右折時は比較的高速で曲がるため、遠心力で積み荷が左に寄りやすくなるために左後輪に負荷がかかります。また、左折時においては、急角度で向きが変わるため、左後輪によじれる力が働きます。

情報をいかに活かすか

 ガソリンスタンドを運営する事業者などタイヤ交換に携わる方々は、このような情報を社内で共有し、タイヤ交換作業の事故防止に向けた意識向上に役立てると良いでしょう。ただし、このような情報は、社内だけに留めず、販売に活用できることを認識しておきましょう。

 例えば、上述のようにタイヤ脱落の事故が多発していることを、自店の顧客に向けて発信します。媒体は店頭でハンドアウトするチラシでも結構ですし、インターネットでも良いでしょう。
 そして、当店はこの情報を受け、これまで以上に安全に気を付けて作業を行っていくこと、また、タイヤ交換時には、ナットの増し締め作業を行っていることを告知します。
 さらに、希望される方には、当店でタイヤを交換しなくても、給油時にナットの増し締め作業を行うことを告知しても良いでしょう。

情報発信の効果

 これにより、自店の安全に対する意識がアピールでき、顧客は高い安心度でタイヤ交換を依頼しやすくなります。他店でタイヤを交換して日が浅い車両に乗る顧客から、ナットの増し締め作業の依頼があれば、それをきっかけに油外商品の販売に結び付く可能性も高まります。

 また、冒頭の報道は大型車の車輪脱落事故について述べていますが、タイヤが装着されている以上、普通車へのアプローチにも活用が可能です。

 タイヤ交換の事故をガソリンスタンドが販売に活かすためには、報道などで得た事故の情報を社内に留めず、社外にも告知し、自社の意識の高さを示すことが重要だと思いますが、いかがでしょうか。

タイヤ販売に関する参考コラム

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