【独白】ガソリンスタンドがタイヤ販売で大手量販店を活用するコツ

戦略の考え方

1.大手量販店の存在を活用したプロセス

(1)近隣に大手タイヤ量販店が立地するガソリンスタンド

 私は、21年間で17カ所のガソリンスタンドを転々としました。それは、複数店舗を展開するガソリンスタンド運営会社内で転勤を命じられて職場が変わったこともありますし、働いていたガソリンスタンド運営会社を退職し、違うガソリンスタンド運営会社に転職して職場が変わったこともあります。

 その17店舗のうち、近隣に大手タイヤ量販店が立地するケースが2回ありました。その量販店は、全国で事業展開を行い、テレビコマーシャルや新聞へのチラシ折込みを頻繁に行う知名度の高い会社です。

 そのうち1軒のガソリンスタンドは、道路を挟んだ真向かいにその大手タイヤ量販店が立地していました。もう1軒のガソリンスタンドは、徒歩数分の場所に大手タイヤ量販店が立地していました。

 そのような立地状況でありながら、面白いことにどちらのガソリンスタンドも、タイヤが大量に売れました。その理由として挙げられるのが、大手タイヤ量販店を活用した販売促進戦略でした。

(2)4本セットだと安くなる価格設定

 タイヤは、いくつかのメーカーがあり、大手タイヤ量販店は多数のメーカーのタイヤを取り扱っていました。それに対して当店は、A社製のタイヤのみ取り扱っており、卸売会社にお願いして近隣の大手タイヤ量販店で販売しているA社製のタイヤのみ、全サイズの価格調査をしていただきました。

 仮にA社製の、あるタイヤが大手量販店では、1本10,000円で販売されていたとします。当事の消費税は8%でしたから、税込10,800円、4本で43,200円になります。この場合、当店では端数を切って、4本で43,000円に設定します。

 ちなみに、このようにまとめて買うと割引が利く価格設定手法は、マルチプル・ユニット・プライスと呼ばれていますが、このようにして、4本セットにした場合に端数を切り、近隣の大手タイヤ量販店よりも僅かに安い価格設定としました。

 その上で、A社製のタイヤ全サイズのうち、売れ筋のタイヤサイズを卸売会社に調べていただき、それぞれのタイヤについて、1本価格と4本価格を併記した価格表を作成し、すり減ったタイヤを装着している車両に乗る顧客には、その価格表の該当サイズと価格の部分に蛍光ペンでマーキングをしてハンドアウトしました。

(3)大手タイヤ量販店が近隣にあるからこそ

 この価格表をハンドアウトする際に、特に強調していたのは、以下の3つです。

 ①4本セットであれば、近隣の大手タイヤ量販店よりも低価格であること
 ②今回ハンドアウトした価格表を近隣の大手タイヤ量販店へ持って行って、本当に安いかどうか確認していただいても構わないこと
 ③当店でタイヤ交換をしていただければ、大手タイヤ量販店と違って、給油のついでに、空気圧の点検やナットの緩み確認などフォローアップが受けられること

 この3点をしっかり訴求できた場合、多くの顧客が、ほぼ即決で購買を決めて下さいました。知名度のある大手タイヤ量販店よりも、当店で交換する方が、大きなメリットを享受できるからです。これは、大手タイヤ量販店の知名度が高ければ高いほど効果的なわけです。

 私が店長を務めていた店舗は、大手タイヤ量販店を競合としては見ておりませんでした。当店は、テレビコマーシャルを流したり、頻繁に新聞折込みチラシを入れたりするほどの財務的資源がなく、戦う土俵が違うからです。それは、大手タイヤ量販店も同じ認識を持っていたようで、当店の価格設定を真似してくることはありませんでした。

 ガソリンスタンドがタイヤの販売促進で大手量販店を活用するコツは、上記に挙げたように、大手が打ち出せないメリットをいかに顧客に与えていくか、という点にあると思いますが、いかがでしょうか。

2.タイヤ販売に関する参考コラム

 ■セルフのガソリンスタンドこそタイヤ販売を促進するべき理由
 ■タイヤ販売が激増したガソリンスタンドの経営者が行うべきこと
 ■ガソリンスタンドでタイヤのバーストを防ぐと販売につながる理由

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