持続化補助金<低感染リスク型>の書き方を不採択事例から学ぶ③

小規模事業者持続化補助金

 同社はある特定分野に特化したコンサルティング会社ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、顧客との対面による打ち合わせ・社内研修の他、現場での実地指導が困難になり、業績が厳しくなってしまいました。

 そこで、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>を用いて、現状を打破しようと考え、計画書を作成し申請しましたが、結果は不採択となってしまいました。そこで、同社が作成した計画書の内容から、採択される可能性を向上させる書き方を検討していきたいと思います。

 下図は当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、下図の赤枠部分<補助事業計画>「2.補助事業の内容」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年1月27日時点の情報に基づいています。

1.持続化補助金<低感染リスク型>の書き方を不採択事例から学ぶ【補助事業の内容編】 

持続化補助金<低感染リスク型>の書き方を不採択事例から学ぶ【補助事業の内容編】(1)補助金の使い道を述べる

 同社が当欄に記載してこられた内容を拝見しても、何に補助金を使うのかが一読しただけでは読み取れませんでした。まず、端的に何に補助金を使うつもりなのかを示すことによって、読み手は補助事業の全体像を把握することができ、理解が進みやすくなります。

 不採択の大きな理由として、読み手が計画の内容を理解できないことが挙げられます。内容が分からなければ、結果として審査で高い得点を得ることは困難となってしまいます。

 よって繰り返しになりますが、冒頭に「補助事業は〇〇である」といった形で補助金を何に使うのか、また、補助事業の内容は端的に表現すると何なのかを示すことが採択を引き寄せると言えるでしょう。

持続化補助金<低感染リスク型>の書き方を不採択事例から学ぶ【補助事業の内容編】(2)専門用語は使わない

 同社が記載してこられた内容は、専門用語が非常に多い印象を受けました。専門性が高ければ高いほど、専門用語を用いた補助事業の説明がなされる印象がありますが、読み手はそれを読み解けるほど専門性が高いかどうかは不明であることに留意する必要があります。

 限られた時間で審査を終える必要のある読み手が、専門用語に出くわした場合、それをネットで調べてじっくり内容を理解しようとすることはあまり期待できないはずですので、素人でも分かる言葉に置き換えて説明する必要があったと言えるでしょう。

持続化補助金<低感染リスク型>の書き方を不採択事例から学ぶ【補助事業の内容編】(3)補助事業の内容を具体的に述べる

 当補助金の申請におけるルールブックである公募要領は、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>のホームページからダウンロードできますが、この中に下図に示した「審査の観点」があります。

 今回見ている「補助事業の内容」に関する「審査の観点」のポイントのひとつに、上図の下線部分「補助事業計画の有効性」があると判断できますが、これを具体的に示したものが、下図に示した当補助金<一般型>の公募要領の赤枠部分です。

 そして、上図赤枠内の下線部分に「補助事業計画は具体的で」とあることから、これを意識した書き方が必要と言えますが、同社が記載してこられた内容は具体的に何をしたいのかを読み取ることが困難でした。

 ちなみに弊社では「具体的」な書き方として、いつ(When)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どこで(Where)、どのように(How)の5W1Hを用いて補助事業を説明することをお勧めしています。

持続化補助金<低感染リスク型>の書き方を不採択事例から学ぶ【補助事業の内容編】(4)経営計画との連動を意識する

 前述の<一般型>公募要領「審査の観点」には「補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか」という記載があります(下図の下線部分)。

 これは<経営計画>「1.自社の事業概要」に記載した、方針や目標との連動性が求められていると判断することが可能です。よって、それらを踏まえた補助事業であることを訴求する必要があります。

 同社が記載してこられた内容は、この連動性を読み取ることが困難であったことも、不採択を引き寄せてしまった要因のひとつと考えられます。

持続化補助金<低感染リスク型>の書き方を不採択事例から学ぶ【補助事業の内容編】(5)創意工夫の特徴を盛り込む

 前述の<一般型>公募要領「審査の観点」には「創意工夫の特徴があるか」という記載があります(下図の下線部分)。

 この記述は、当補助金制度が発足した当時の公募要領には記載がなく、数年後に追加された項目です。創意工夫の特徴として日本初といったものが求められてはおらず、自社なりにどのような点を工夫したのかを記載すれば足りると解釈していますが、同社が記載してこられた内容から、それに該当する内容を読み取ることは困難でした。

 なお、弊社がお勧めしているのは、前述の5W1Hの中で「何を」を述べる際に、創意工夫の特徴を盛り込むことです。例えば、単に「ホームページを制作する」と記載するのではなく「代表が事業にかける想いを語った動画をトップページに組み込んだホームページ」といった形で記載すると効果的なのではないでしょうか。

 今回のコラムでは<補助事業計画>「2.補助事業の内容」の書き方として(1)補助金の使い道を述べる、(2)専門用語は使わない、(3)補助事業の内容を具体的に述べる、(4)経営計画との連動を意識する、(5)創意工夫の特徴を盛り込む、を挙げました。次回のコラムでは、<補助事業計画>「3.補助事業の効果」を見ていきます。

 当事例を解説した前回までのコラムは以下になっています。ご参考まで。

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