年上の部下に接する3つのポイント~ガソリンスタンドの現場から

人材育成

 複数のガソリンスタンドを展開する企業に勤務し、ある大型店で店長を担うA氏はタイヤ販売で大きな大きな業績を挙げていました。そんな中、他店で店長を担っていた年上の店長B氏が降格し、A氏の部下として異動してくることになりました。

 誰しも、やりにくくなるだろうな、という予感は当然抱くわけですが、それが現実化するのではないか、という出来事がありました。B氏が赴任したその日、早速B氏が奥歯で噛みつくように仕掛けたのです。B氏は、年下であり上司でもあるA氏に「オレ、タイヤ売るのは嫌いなんだよね」と言い放ちました。

 B氏のこの発言は、本人にとって不本意な人事異動に対する八つ当たりであることは明らかなわけですが、こんな時、A氏はどう接するべきなのでしょうか。今回のコラムでは、年上の部下が反抗してきた時に、年下の上司はどうするべきかを見ていきます。

年上の部下に接するポイント1:同じ土俵に上がらない

 年上の部下が反抗してきた時に大事なことは、その挑発に乗らないこと、つまり、同じ土俵に上がらないことです。挑発に乗らないためには、相手が「そういう人」だと認めることです。

 相手の発言に傷付いてしまうと相手の挑発に乗ってしまいます。重要なことは、人は自分が持つ「べき論」に相手の言動が刺さると傷付くということです。この場合「部下は上司の言うことを無条件で受け入れるべき」という「べき論」があると、傷付きます。

 もし、傷付いたと感じたら、自身のどのような「べき論」に刺さったのかを知る良いチャンスです。長年寄り添ってきた「べき論」ですから、手放すのは容易ではありません。ですが、手放すべきものを知ったということは、少しずつ手放すことができるはずです。ここで重要なことは「手放す」と決めることです。

 仮にA氏がタイヤではなく洗車で大きな業績を挙げていたとしたら、B氏は「洗車売るのは嫌いなんだよね」と言うでしょう。何をどうしても「○○売るのは嫌いなんだよね」という人がB氏なのです。B氏はそういう人なのです。

 そのB氏の態度を変えさせようとするのは、大リーグの大谷翔平選手が、一般人に「なんで160㎞/hのボール投げられないんですか?」と問うことと同義です。相手を変えるのではなく、まずは、相手を認めること。そして自分が挑発に乗る必要が無いことを認識することです。

 そして、相手が「そういう人」だと認めたことを具体的な言動として表出させるには、次に示す承認がポイントとなります。

年上の部下に接するポイント2:承認する

 「タイヤ売るのは嫌いなんだよね」という発言があったら「タイヤ売るのは嫌いなんですね」とその発言をそのまま承認します。ですが、B氏も給料をもらう以上、収益に寄与していただかなければなりません。そこで「Bさんが、タイヤ以外で販売が得意な商品は何ですか」と問いかけます。

 A氏は、本当はタイヤを売って欲しいのですが、なぜタイヤを売るのかというと、自身が預かる店舗の収益性を向上させるためです。そうであるなら、何もタイヤにこだわる必要はないはずであり、B氏の得意な商品を売ってもらった方が、収益性はより簡単に高くなるはずです。

 重要なことは、小さいことにこだわらず、相手を承認し、目的達成のための働きかけをすることです。ただし、その場限りの承認ではなく、次に示すような、継続的な承認が必要となります。

年上の部下に接するポイント3:承認し続ける

 年上の部下であるB氏は、年下の上司A氏を試しているわけで、ポイント1、2を通じて、B氏は肩すかしを食らったと感じるはずです。場合によっては、A氏の対応にちょっとした畏怖の念を抱くかもしれません。

 そのB氏のモチベーションを高め、維持するには、日常業務の中で折に触れ、承認し続けていくことです。

 「Bさん、今日の午前中は32台のお客様に声を掛けてましたね」
 「Bさん、今日は1日を通じて3名のお客様にありがとうって言われてましたね」

 A氏がB氏に関心を寄せて見守り、承認し続けることは、言葉の報酬を与え続けることとなります。ここで重要なことは、A氏が望む行動をB氏がとってくれたときにその行動に対する言葉の報酬として承認を与える、ということです。

 30台以上の声掛けを望んでいるのであれば、5台や10台の声掛けで、言葉の報酬を与えても意味がないということです。

 労働力の高齢化により、年下の上司が年上の部下を持つケースは増えてくるはずです。今回のコラムでは、年上の部下に接する3つのポイントとして、1.同じ土俵に上がらない、2.承認する、3.承認し続ける 、を挙げました。

 このようなポイントを押さえて接し続けることができる管理職を経営者は育てていくことが生き残りに繋がることとなります。

メルマガ会員様募集中

 メルマガ会員様には、リアル店舗の現場経験20年以上、コンサルティング歴10年以上【通算30年以上のノウハウ】を凝縮した【未公開のコラム】や、当サイトに掲載したコラムの【解説動画URL】を優先的に配信しています。
登録はこちらから
↓↓↓

ロードサイド経営研究所メールマガジン登録フォーム(無料)

電子書籍のご案内

 1年で70人のアルバイトに辞められたガソリンスタンド店長が人材に全く困らなくなった理由:育成編~人材が育つ職場と人材に見放される職場の境界線~
2020年3月15日発行 定価1,055円

タイトルとURLをコピーしました