クレームへ対応するのではなく処理に走る会社に利益が出ない理由

経営の姿勢

オイル交換のクレーム

 首都圏で複数のガソリンスタンドを展開する会社が運営する店舗でエンジンオイルの交換をした顧客から店舗へクレームが寄せられました。その内容は、「その店舗のオイルメニューにある一番高いものでオイル交換を依頼したが、安いものでオイル交換をされたので、代金を返せ」というものです。

 店長が「なぜ安いオイルを使われたと言えるのか」と伺ったところ、「いつも同じ高級オイルを使っているが、今回は吹けが悪い(エンジン回転数の上昇が鈍い)から」と言いますが、吹けが良いか悪いかはあくまでも感覚の話です。

 その車両のオイル交換を担当したのは、その店長でした。店長は間違いなく同店で一番高いエンジンオイルをその車両に使用していることを記憶していましたので、その旨を顧客に説明したのですが、顧客は聞く耳を持ちません。

クレーム「処理」がもたらしたもの

 そこで本社勤務の直属上司にクレーム内容を報告するとともに、「その車に入っているエンジンオイルを抜いて、オイルのメーカーにある検査機関で調べてもらって白黒つけたい」と申し出たところ、エリアマネージャーの回答は「手間がかかるから、代金を返してやれ」というものでした。

 その店長は、上司の回答に唖然とし「詐欺かもしれないんですよ」と食い下がりましたが、上司の回答は変わりませんでした。この店長は結果として上司の回答に従い、一番高いエンジンオイル数リットルの代金を顧客に返却したといいます。

 この上司の回答に基づく上記の行動は、当該顧客に対して店舗が虚偽の商売をしたと認めたことになりますから、この顧客に悪意がない限り、店舗は顧客からの信頼を大きく損ねたことになります。さらに、上司も部下である店長に対する信頼を大きく損ねました。

クレームへの「対応」とは

 理想的と考えられる対応として、以下の内容を顧客と同意書を交わします。

 ・クレームをつけてきた顧客の目の前で、車両のエンジンオイルを抜き、最高級のエンジンオイルを新たに注入し、今抜いたオイルを検査機関に出すこと
 ・検査機関からは書面でどのオイルを使ったかを回答させること
 ・顧客側でも抜いたエンジンオイルを一部持ち帰っていただき、しかるべき機関で調べてもらっても構わないこと
 ・検査の結果、当初入れていたエンジンオイルが、同店の最高級オイルだった場合、返金に応じないとともに、今回注入したエンジンオイルの代金もお支払いいただくこと
 ・検査の結果、当初入れていたエンジンオイルが、同店の最高級オイルではなかった場合、返金に応じるとともに、今回注入したエンジンオイルの代金は請求しないこと

 その上で、同意書の内容を実行することとなります。

 このような対応をせず、安易に返金をして、顧客から信頼を失った店舗にその顧客はリピーターとして再度オイル交換を依頼する可能性は低いでしょう。
 さらに、今回の上司の回答で、店長は上司に不信感を持っただけでなく、プライドも傷付きました。そのような上司・部下間で円滑なコミュニケーションが今後なされるはずもなく、店舗の業績は落ち込んでいきました。

 一事が万事で、経営陣がクレームを処理しようとする姿勢は、この店舗だけでなく、企業全体の衰退を招くこととなります。クレームへ対応するのではなく処理に走る会社に利益が出ない理由がここにあります。
 ロードサイド店舗では、クレームに対して安易な処理に走るのではなく、手間がかかってもしっかり対応することが、業績向上に繋がることを踏まえて、顧客からのクレームに接していく必要があります。

 【クレームに関する参考記事】
 クレーム発生時の心構えは、反応ではなく対応すること
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