努力しても儲からない理容店が考えるべき3つのこと

戦略の考え方

 ある理容店の経営者が発した以下の質問に触れる機会がありました。

 最近の理容業界は、安価なフランチャイズ店の進出、後継者不足、現役世代の高齢化など、さまざまな要因により、不景気の一途をたどっています。仕事的には顧客に喜ばれることも多く、やりがいはありますが業績は厳しいです。

 ターゲットを男性から女性に広げたり、講習会や勉強会でスキルを向上させたり、広告を出稿したり色々取り組んできましたが、なかなか結果はついてきません。意地とプライドでこの十数年頑張ってきましたが、もう限界のような気もしています。何かアドバイスをお願いします。

 今回のコラムでは、このご質問を受け、色々努力しているにもかかわらず、儲からない理容店が検討するべきことを見ていきます。

努力しても儲からない理容店が考えるべきこと1:事業領域

 誰に、何を、どのように提供するのか。これを事業領域と言いますが、「誰に」は顧客ターゲット、「何を」は満たしたい顧客ニーズ、「どのように」は差別的優位性に該当し、これが明確になっていることは、事業のブレがなくなります。

 例えば、かつて私がご支援したある理容店は新規事業として、以下の事業領域を打ち立てて展開しています。

 誰に:地域に在住する40歳以上の女性に
 何を:顔剃りとヘアーマニキュアのセットを通じた若々しさを
 どのように:照明入換えなどの店舗改修をしたおしゃれな雰囲気の店舗で

 単にターゲットを広げるだけではなく、そのターゲットのニーズや発揮するべき差別的優位性も明確にすることで、以降で示す必要なスキルの見極めができる他、広告の訴求対象者やその内容が明確になるという効果もあります。

努力しても儲からない理容店が考えるべきこと2:必要なスキル

 事業領域が明確になると、それを推進するために必要なスキルを見極めることとなります。上述の事業領域を打ち立てた理容店は、その新規事業を多くの方に知っていただく必要がありました。

 しかし、販促費はあまり使うことができなかったため、チラシもホームページも自店で作ることとしましたが、この場合、今後身に着けていくべきスキルは、チラシのデザイン力や無料ホームページの作成力ということになります。このようなスキルが身に着くセミナーはインターネットで探せばたくさん出てきますが、私が頻繁に活用しているのはストアカです。

努力しても儲からない理容店が考えるべきこと3:広告の段階

 AIDMA(アイドマ)理論というものがあります。これは、以下に示す5つの単語の頭文字を並べたもので、消費者の購買に至る心理的ステップを示したものです。

 ①Attention(注意)
 ②Interest(関心)
 ③Desire(欲求)
 ④Memory(記憶)
 ⑤Action(行動)

 消費者は広告を見て、いきなり購買行動というアクションを起こすわけではなく、まずは注意を向け、関心を持ち、来店したいという欲求を持つものの、それを記憶にとどめて他店との比較をし、その上で来店する店舗を決め、購買行動を起こす、というものです。

 冒頭の経営者は、広告を出稿したと述べていますが、それは上記①~⑤のどの段階を意識したものなのでしょうか。例えば、①Attention(注意)を意識したものであれば、自店の沿革、施術内容や料金の紹介といった自己紹介的な内容になりますし、④Memory(記憶)を意識したものであれば、他店と比較した差別的優位性を訴求することとなります。

 よって、慌てずに段階を踏んだ広告を出稿することにより、結果的に効果が高まることとなります。

 今回のコラムでは、努力しても儲からない理容店が考えるべき3つのこととして、1.事業領域、2.必要なスキル、3.広告の段階、を挙げました。冒頭の経営者は「頑張ってきた」と自負していますので、是非、今回のコラムを参考に頑張りを業績に繋げていただきたいと思います。

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