ガソリンスタンドのスタッフが危険物乙4試験に合格するコツ

モチベーション

乙種第4類危険物取扱者とは

 消防法では、一定数量以上の危険物を貯蔵し、または取り扱うガソリンスタンドなどの施設には、危険物取扱者を置かなければならないとしています。

 危険物は甲種・乙種・丙種があり、甲種と乙種の危険物取扱者は、自身で取り扱いが出来るほかに、自身が立ち会うことにより、無資格者が取り扱うことができます。そして、乙種には第1類から第6類までの分類があり、ガソリンスタンドで取り扱う商品は、乙種第4類に分類されます。

 よって、ガソリンスタンドにこの資格の保有者が多く在籍するということは、店舗運営を任せることができるスタッフが多いことを意味します。なお、一般社団法人 消防試験研究センターによると、平成29年度の乙種第4類危険物試験の合格率は35.4%となっています。

 多くのガソリンスタンドでは、店長を筆頭に正社員が乙4資格を保有している店舗は多いですが、アルバイトスタッフが保有している店舗は多くない印象があります。結果として、有資格者である正社員が店舗にいなければ、店舗運営ができなくなり、正社員は長時間労働をすることになります。

 これを是正するには、乙4資格を持ったスタッフを増やす必要があり、慢性的な労働力不足に悩んでいる店舗ほど、正社員やアルバイトといった枠に囚われずに、乙4を取得させる必要があります。

誘因と貢献

 組織を構成するメンバーは、組織から提供される「誘因」が、メンバーが組織へ提供する「貢献」と等しいか、より大きい場合に「貢献」をし続けます。つまり、乙4試験に合格することにより得られる「誘因」が、働きながら試験勉強をするという「貢献」と等しいか、より大きい場合に、合格を目指して勉強ができる、ということになります。

 ここで、多くのガソリンスタンドでは、「誘因」として時給アップや手当を用意します。ですが、これだけでは、高いモチベーションに繋がりにくいことが実証研究で明らかになっています。

動機付け要因と衛生要因

 アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグ氏は、実証研究を通じて、モチベーションが高い状態を「動機付け要因」が充足されている状態とし、モチベーションが低い状態を「衛生要因」が充足されていない状態としました。
 そして、衛生要因が充足しても、モチベーションのマイナス幅が縮小するだけであり、動機付け要因を充足させることが高いモチベーションを引き出すことを明らかにしました。

 具体的な衛生要因とは、以下の通りです。
 ・上司の監督
 ・会社の方針
 ・給料
 ・人間関係
 ・労働条件 など

 極端な例を挙げますが、モチベーションを上げようとして、衛生要因の1つである給料を10倍にしたとします。この場合、そのスタッフは張り切って働くよりも、不安にさいなまれるようになり、モチベーションは高まりにくくなります。自身が置かれた業界、自身の能力を鑑みると、昇給してもせいぜいこの程度、という天井感を持っているからです。
 コンビニのレジ打ちバイトの求人広告で時給1万円と告知した場合に、応募者が殺到することは想像しにくいのと同じことです。

 つまり、乙4試験に合格させるために、衛生要因に含まれる給与を改善しても高いモチベーションは引き出すことが困難である、ということです。

 そこで、高いモチベーションを引き出すためには動機付け要因の充足が必要となるわけですが、具体的な動機付け要因とは以下の通りです。
 ・承認
 ・責任
 ・達成感
 ・仕事そのもの
 ・昇進 など

乙4合格者が続出したガソリンスタンド

 あるガソリンスタンドでは、この動機付け要因の充足に着目した取組みにより、アルバイトスタッフが次々と乙4試験に合格し、結果として油外収益の拡大を実現させました。

 営業時間を7:00~23:00としているこのガソリンスタンドでは、20:00以降は油外収益がほとんど発生しないため、アルバイトスタッフと比較して油外商品の販売力が高い正社員が、23:00まで働くことは非効率という認識を持っていました。

 そこで、アルバイトスタッフが乙4試験に合格した場合、店舗の鍵を本人に預けて、20:00~23:00の営業を任せることにしました。もちろん、任された方の責任も重くなりますから、それなりの手当は支給します。
 これは、乙4試験に合格したことが「承認」され、「責任」のある仕事を任せられるという動機付け要因の充足に繋がる、ということです。

 このガソリンスタンドでは、アルバイトスタッフが乙4試験を受験するにあたり、負担した費用は、参考書代1冊分と受験費用だけです。勉強会を開いたり、受験直前に勉強時間を確保するためにシフトを調整したりする、などということは全くしていません。合格に対する高いモチベーションが次々と合格者を輩出したのです。

 そして、正社員が20:00で退社できるようになったため、その分、出社時刻は早くなり、油外商品が売れる時間帯に、店舗として販売力が高い状態で営業できることとなりました。

 以上より、ガソリンスタンドのスタッフが危険物乙4試験に合格するコツとして、合格したスタッフへ与える誘因を動機付け要因に基づくものにする、という取組みが挙げられるでしょう。

モチベーションに関する参考コラム

 ■アルバイトさんのプロ意識を醸成し、モチベーションを上げるには
 ■人材不足の解消策
 ■年上の部下への対応

メルマガ会員様募集中

 メルマガ会員様には、リアル店舗の現場経験20年以上、コンサルティング歴10年以上【通算30年以上のノウハウ】を凝縮した【未公開のコラム】や、当サイトに掲載したコラムの【解説動画URL】を優先的に配信しています。
登録はこちらから
↓↓↓

ロードサイド経営研究所メールマガジン登録フォーム(無料)

電子書籍のご案内

 1年で70人のアルバイトに辞められたガソリンスタンド店長が人材に全く困らなくなった理由:育成編~人材が育つ職場と人材に見放される職場の境界線~
2020年3月15日発行 定価1,055円

タイトルとURLをコピーしました