ガソリンスタンドの接客マニュアルで油外商品の販売が困難な理由

戦略の考え方

1.マニュアルの弊害と個別対応の重要性

(1)飲食店の閉店時間を巡る対応

 昨日は、私がガソリンスタンドの運営会社に勤務し店長を務めていた頃に働いてくれていた、元アルバイトの方達と忘年会を行いました。当時高校生のアルバイトの子が、今や反抗期を迎えたお子さんの父親になっているなど、時が流れるのは早いものです。

 居酒屋に集合して、お酒を飲みながら様々な話をしましたが、2軒目で飲んでいた店舗で、追加のドリンクをオーダーしたところ「もう閉店時間なんです」と言われ、3軒目に移動することにしました。その店舗のルールですので、これは致し方ありません。

 ただ、この際に思い出したのが、秋田県北秋田市の居酒屋さんです。現地で仕事を終え、冒頭に掲載した写真のお刺身をつまみつつ、地元の方と日本酒を差しつ差されつ飲りながら、様々な会話をしていましたが、ふと時計に目をやると23:30になっていました。

 お店の方に「閉店時間は何時なんですか」と伺ったところ「23:00なんですが、話が盛り上がっているので、少しくらい閉店時間を延ばしても構わないんですよ」と明るく返してくれて、非常に嬉しかった記憶があります。限度問題ではあるものの、このようにマニュアルやルールに縛られずに、その顧客や状況に応じた接客をすることは、顧客満足度をより高めることに繋がります。

(2)接客マニュアルの弊害

 さて、接客マニュアルを用意しているロードサイド店舗は多いと思いますが、あるガソリンスタンドの接客マニュアルには、台詞が並べられていました。

 その店舗では、受注時の台詞、洗車をお勧めする際の台詞、エンジンルームの点検をお勧めする際の台詞、会計時の台詞、同店専用のクレジットカードをお勧めする際の台詞など、マニュアルに記載されたこれらの台詞を暗記させ、接客にあたらせていました。

 新人に対して「受注してきなさい」と言うよりも、「『いらっしゃいませ、こんにちは。今日はガソリン満タンでよろしいでしょうか』と聞いてきなさい」と言った方が、指示が具体的になっており、新人は行動・発言しやすくなります。

 その点では、台詞を並べたマニュアルは意義があるのでしょうが、そのようなマニュアルでエンジンオイルや洗車など燃料以外の商品(油外商品)が販売できるか、というとなかなか厳しいでしょう。なぜなら、マニュアルは画一的な接客であり、カウンセリング的な接客によって顧客が抱える個別の事情を踏まえないと油外商品の販売は困難であるからです。では、どうするべきかという点を見ていきます。

(3)マニュアルをベースにオリジナルな接客を目指す

 マニュアルを機能させつつ、油外商品を販売するための方策として挙げられるのは、新人が成長していくに従い、接客マニュアルをベースとしつつも、顧客に応じたオリジナルな接客が出来るように、店長がスタッフに考えさせることです。

 オリジナルな接客とは、受注であれば「いらっしゃいませ、こんにちは。今日はガソリン満タンでよろしいでしょうか」ではなく、「○○様、いつもご来店ありがとうございます。今日もレギュラーガソリン満タンでよろしいでしょうか」という形にするイメージです。

 顧客に応じた接客とは、「顧」客を「個」客として接し、個別の課題に対応していく接客であり、これにより、結果として油外商品の販売に結び付く可能性が高まります。このためには顧客管理が必要ですが、具体的な方策は以下を参考にしてください。

 ガソリンスタンドの接客マニュアルで油外商品の販売が困難な理由は、どの顧客に対しても同じ対応をしてしまうことにより、個別対応が困難になってしまうため、と言えるでしょう。

2.接客に関する参考コラム

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