ガソリンスタンドの油外商品販売が抱えるリスクを回避するコツ

経営の姿勢

持ち込みタイヤの交換作業はお断りする店

 店舗運営を継続させていくには、利益が必要です。そして、ガソリンスタンドに関して言えば、その利益を安定的に得ていくには、油外商品の販売が必要になります。

 しかし、油外商品の販売は、顧客の車を預かって移動させる以上、車をぶつけてしまうリスクを抱えます。また、オイル交換であれば、ドレーンコックの締め過ぎによるオイルパンの破損、長年オイル交換をしなかった車両のオイル交換による不調など、タイヤ交換であれば、ホイールナットを外す際にボルトが折れてしまったり、タイヤバルブが破損してしまったりするなどのリスクがあります。

 あるガソリンスタンドでは、ホイールの着いていないタイヤを持ち込む顧客からのタイヤ交換のご依頼は全てお断りしていました。

 新品のタイヤであれば、タイヤ自体が柔らかいので、交換する際にビード部を破損することはまずありません。しかし、持ち込みタイヤは古いものが多く、その場合、タイヤ交換時にビード部を破損する可能性があります。
 また、インターネットを用いた通信販売や、ネットオークションで安く入手したものを持ち込み交換するケースもあり、自店のタイヤ販売に影響を及ぼすというリスクもあります。

リスク回避により商機を逃していないか

 このガソリンスタンドは、上記のリスクを回避するという目的で、持ち込みタイヤの交換をお断りしていましたが、ネット通販が進展する中、商機を逃しているとも捉えられます。
 持ち込みタイヤ交換のリスクを最小限にして、交換を引き受けることはできないのでしょうか。

 携帯ショップにスマホを修理に出す際、家電量販店にパソコンを修理に出す際、その機器内に保管されているデータが消失しても店舗側は責任を負わない旨、書類に署名を求められます。
 ホイールの着いていないタイヤを持ち込んでタイヤ交換のご依頼を受けた際も同様のことはできないでしょうか。ビードが切れるなど、作業中のタイヤ破損に関して、店舗側は責任を持たない旨を記載した書類を作成し、署名をいただいた上で作業にあたるのです。

 また、自店のタイヤが売れなくなるというリスクに関してですが、自店のタイヤ販売が鈍ったとしても利益が出れば良いので、持ち込みのタイヤ交換は料金を倍にするなど、高めの価格設定をしてもよいでしょう。
 あるガソリンスタンドでは、雪の天気予報が出ると、その時点でタイヤ交換料金を倍にします。それでも顧客はタイヤ交換のために行列を成します。どうしても交換が必要であれば、料金の安い店を探すことよりも、まずは交換することを求める方が多いのです。

 タイヤは4本セットで考えた場合、一般的に数千円で買えるものではありません。数万円を出す以上、必要に迫られて購入しているわけで、車両に装着しなければ購入した意味がありません。顧客が交換を必要とし、自店はタイヤ販売に影響を及ぼすリスクを抱える以上、高めの料金設定には妥当性があると考えます。

 ガソリンスタンドの油外商品販売が抱えるリスクを回避するコツとして、トラブルのリスクが高い作業は、顧客から署名をいただくこと、そして、販売に影響を及ぼすリスクが高い作業は、価格設定を見直すことと考えます。

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