儲かるガソリンスタンドが持つ5つの特徴

　私は21年間で7つのガソリンスタンド運営会社に勤務し、現場に身を置きました。その中には、複数店舗を展開する会社もあり、転勤も経験しましたので、結局17箇所のガソリンスタンドの現場で、アルバイトからエリアマネージャーまで様々な役職を経験しました。

　在職中に中小企業診断士の資格を取得し、その後、経営コンサルタントとして創業し、11年目を迎えますが、この11年間でガソリンスタンドのコンサルティングもしてきました。

　今回のコラムでは、このような経験の中で見えてきた、儲かるガソリンスタンドの共通した特徴を見ていきます。

儲かるガソリンスタンドの特徴1：役割分担が明確である

　ガソリンスタンドでは、オイルや洗車といったガソリン以外の商品、つまり油外商品の販売が収益安定のポイントとなる場合が多いのですが、あるガソリンスタンドでは、スタッフを給油担当と油外商品の販売担当に分け、油外商品の販売を担うスタッフに給油作業をなるべくさせないようにし、販売に集中させて大きな実績を挙げました。

　別のガソリンスタンドでは、スタッフをクレジット会員獲得担当とタイヤ販売担当に分け、大きな業績を挙げました。これは、タイヤは高額商品であるため、顧客にクレジットカードを持っていただければ、買っていただきやすくなるという点に着目した結果です。

儲かるガソリンスタンドの特徴2：情報共有が活発である

　あるガソリンスタンドでは、会議や研修に出席した店長は、その内容を早いうちに必ずスタッフに説明し、店長しか知らない情報が極力少なくなるようにしていました。

　会議の内容をオープンにすることにより、スタッフの目が社内の違う店舗に向くこととなり、視野が広がりやすくなります。また、研修の内容をオープンにすることにより、研修で店長が学んできたスキルをスタッフも得たりすることもできます。

　そして、何よりも店長が会議や研修の内容を復習することができ、単に出席しただけで終わらず、会議・研修を実務に活かすことを可能にしています。

儲かるガソリンスタンドの特徴3：機能する育成の仕組みがある

　新人が入社してくると、業務を教え、トレーニングをすることとなりますが、儲かるガソリンスタンドでは、店長ではなく、アルバイトスタッフが新人のトレーナーとなります。これにより、教える側も知識の強化、スキルの向上を図ることが可能となります。

　また、トレーナー用のマニュアルがあり、何をどのようにトレーニングするかが明確になっているとともに、その内容はトレーナー役のアルバイトの声を反映させ、随時ブラッシュアップされています。

儲かるガソリンスタンドの特徴4：店長の行動が柔軟である

　そのガソリンスタンドによって、ベテランスタッフが揃っていたり、そうでなかったりなど、スタッフの習熟度に差があります。それでも儲かるガソリンスタンドの特徴は、店長がその職場やスタッフの習熟度に応じた行動をとっています。

　それは「部下を支援する行動」と「部下に指示を出す行動」の量に差をつけるということです。支援する行動とは、部下に仕事を任せ、部下の仕事を支援していく行動であり、指示を出す行動とは、部下に具体的な行動を指し示す行動です。具体的には、以下のコラム参考にして下さい。
　具体的な行動に基づくリーダーシップ
　扱いにくいベテランスタッフへ発揮するべきリーダーシップとは

儲かるガソリンスタンドの特徴5：スタッフの承認欲求が満たされている

　人は多かれ少なかれ、認められたいという承認欲求を持っています。よって、店長が部下を承認してその欲求を満たすことで、部下はその欲求を満たすために承認される行動を強化していきます。

　承認のポイントは、スタッフの仕事ぶりを見ていなくてもできる賞賛と混同しない、ということです。つまり、事実を解釈なくそのまま認めるということです。例えば「○本売れたね」「○人にお礼言われてたね」「○円増えたね」といった形です。以下のコラム参考にして下さい。
　承認による店舗マネジメント
　「認める」と「褒める」の違い

　今回のコラムでは、儲かるガソリンスタンドが持つ特徴として、1．役割分担が明確である、2．情報共有が活発である、3．機能する育成の仕組みがある、4．店長の行動が柔軟である、5．スタッフの承認欲求が満たされている、を挙げました。

　これらを意識することにより、スタッフの行動が活性化され、ひいては実績も拡大する可能性が高まりますので、参考にして下さい。