扱いにくいベテランスタッフへ発揮するべきリーダーシップとは

人材育成

状況に応じたリーダーシップ

 先日、ある企業様向けにリーダーシップの状況適合論をご説明する機会がありました。状況適合論も様々ありますが、今回ご説明したのは、アメリカのP.ハーシー氏とK.ブランチャード氏が提唱した「SL(Situational Leadership)理論」というものです。

 これは、リーダーの行動には、支援的行動と指示的行動があるという考え方が前提にあります。支援的行動は、部下に仕事を任せ、その仕事の品質を高めるためにフォローをするという行動です。これに対して指示的行動は、文字通り部下に指示を出すという行動です。

 そして、職場・部下を①未熟な状態、②成長してきた状態、③成熟した状態、④熟練の状態、の4タイプに分類し、有効なリーダーシップは、それぞれの状態によって、支援的行動と指示的行動の量に差を付けることが有効、とされています。

4つのリーダーシップ

 図の①は、職場・部下が未熟な状態ですが、この場合のリーダーシップは、支援的行動は少なく、指示的行動は多くします。未熟な状態であり、仕事を任せることができませんので、支援的行動ではなく、教育が必要となります。また、指示を出さないと動けませんので、指示的行動は多くします。
 
 図の②は、職場・部下が成長してきた状態ですが、この場合のリーダーシップは、支援的行動は多く、指示的行動も多くします。成長してきた状態ですので、簡単な仕事は任せ、そのフォローアップを行うという支援的行動を多くします。ただし、まだ経験は浅いので指示的行動も多くします。
 
 図の③は、職場・部下が成長から成熟の段階へレベルアップした状態ですが、この場合のリーダーシップは、支援的行動は多く、指示的行動は少なくします。これまで任せてきた仕事よりも難易度の高い仕事を任せ、そのフォローアップを行うという支援的行動を多くします。しかし、あれこれ細かい指示は不要となってきますので、指示的行動は少なくします。
 
 図の④は、職場・部下が熟練に達した状態ですが、この場合のリーダーシップは、支援的行動も指示的行動も少なくし、仕事自体を任せていきます。ここで重要なのは、それまでに培った知識やノウハウを活用して、より良い職場にするべく、考えていただくということです。そのためには、リーダーがコーチングのスキルを身に着けていると良いでしょう。

チームワークを乱すベテラン

 このような説明を実施したところ、経営者から下記の質問がありました。

 「あるベテランスタッフのチームワークを無視する点が気になっている。しかし、SL理論だと、彼は④のゾーンに該当するので、仕事を任せていくリーダーシップをとることとなる。その場合、チームワークを無視するそのスタッフがいることで、仕事が上手く回らないのではないか」

 何をもって、未熟・成長・成熟・熟練に分類するかはリーダーの主観であり、特に基準はありません。ですが、上記の質問から言えることは、その問題となっているスタッフは、作業は「熟練」のレベルであっても、チームワークに関する意識は「未熟」のレベルであろう、ということです。
 よって、チームワークに関する教育を行う必要があり、チームワークに関しては①のリーダーシップスタイルをとる必要があります。

 扱いにくいベテランスタッフへ発揮するべきリーダーシップとは、ベテランスタッフのスキルが、上図の①~④のうち、どのゾーンのレベルになっているのかを見極め、そのレベルに応じた支援的行動と指示的行動の量を調節していくことである、と言えるでしょう。

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