小規模事業者持続化補助金で告知力を強化した化粧品店の事例①

小規模事業者持続化補助金

 なぜ記入例に「売上総額・利益総額の大きい商品」の一覧表があるのかを検討することは、採択に近づくだけでなく、自社の業績向上の可能性を高めます。

 今回から取り上げる化粧品店は、当時創業15年を迎えていましたが、ドラッグストアの進出で業績不振が顕著になってしまい、顧客を呼び込む方策を検討したいたところ、小規模事業者持続化補助金を知り、店舗の外装を変えることで告知力を強化しようと考えました。

 同店経営者が記載した計画書の内容を採択レベルに引上げるために、どのような点をどのように変えたのか、そのプロセスをご紹介していきますが、今回のコラムでは、下図赤枠部分、様式2-1<経営計画>「1.企業概要」について見ていきます。

商工会議所と商工会

 小規模事業者持続化補助金は、1事業者単独で応募するケースの他に、他者と連携して応募することも可能です。また、今年度から<一般型>の他に<コロナ特別対応型>というケースも創設されました。

 上表で示した様式1-1~様式5は、単独で<一般型>へ応募する際に最低限提出しなければならない書類ですが、このうち「様式4 事業支援計画書」は応募する事業者の地域を管轄する商工会議所もしくは商工会が作成します。

 よって、様式4以外は、締め切り1週間ほど前までに事業者が作成し、同所へ持参した上で作成していただき、それも含めて事業者が事務局へ提出する必要があります。

 そして、この商工会議所、商工会それぞれの上部団体が日本商工会議所全国商工会連合会になり、同団体は各様式の記入例を公開しています。これを詳しく見ていきます。

効果的な戦略を構築するために

 上の図は、今回のコラムのテーマである、様式2-1<経営計画>内「1.企業概要」の記入例です。ここで着目したいのは、この記入例の中にある「売上総額の大きい商品」「利益総額の大きい商品」の一覧表です。

 この表を作成することにより、事業者は自店の売れ筋・死に筋商品を感覚ではなく数値で把握することができ、売れ筋をさらに売るためにどうするべきか、死に筋を継続して販売するべきかそれとも外すべきかといった、今後の戦略を実態に即した形で構築することが可能となります。

 そして、このことは、審査においても有利な影響を及ぼします。

審査がある理由

 補助金の財源は税金ですから、一度徴収した税金を補助金という名前に変更して事業者に再配分することとなりますが、再配分することによって、これまで以上に収益性を向上させ、納税額を大きくしてくれそうな事業者が補助金に採択されます。

 よって、応募時には計画書を作成して、それが審査されるわけですが、前述の記入例は、審査で高い得点となるモデルのようなものです。昨今は応募者のレベルも上がり、記入例程度のレベルでは採択されないという話もありますが、まずは記入例レベルの計画書を作る必要があります。

 その際に、上記の「売上総額の大きい商品」「利益総額の大きい商品」の一覧表を作成することは必須と言って良いでしょう。とはいえ、単品管理をしていない事業者もいらっしゃると思います。その場合は書きようがありませんが、そうでなければぜひ盛り込んで下さい。

事前記載のブラッシュアップ

 同店の場合、「1.企業概要」に書かれてきた内容は、概ね以下となっていました。

  • 開業年月、立地、敷地・売場面積、営業時間、定休日、人員構成、客層
  • 売上構成:化粧品○%、酒○%、たばこ○%、食品○%、雑貨他○%

 売上構成を把握しているのであれば、前述の記入例に則り「売上総額の大きい商品」「利益総額の大きい商品」の一覧表を作成することは困難ではないでしょう。その旨を同店経営者にお伝えし、作成していただきました。

 また、立地については文章での説明の他に地図を盛り込むと、より説得力が高まります。さらに、経営者や店舗スタッフの顔写真を盛り込むと、よりリアリティが増します。

 このようにして「1.企業概要」をブラッシュアップしていただきました。次回は「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。

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