小規模事業者持続化補助金に採択!持帰り中華料理店の事例③

小規模事業者持続化補助金

 小規模事業者持続化補助金に採択され、テイクアウトを強化した、その中華料理店はどのようにして採択されるレベルの計画書を作成したのか。そのプロセスをご紹介していくシリーズの3回目は、様式2<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」について見ていきます。

【経営方針】の留意点

 同店は【経営方針】【目標と今後のプラン】という見出しを設けていましたが、ここは、【経営方針】【目標】【今後のプラン】に切り分けることをお勧めしています。

 【経営方針】を記載する前に検討していただきたいのは「経営理念」です。「あなたはなぜ生きていますか」と問われて即答できる人は多くありませんが、回答内容がどうであれ、即答できる人は、力強さを感じさせます。

 「貴店はなぜ存在していますか」と問われた中華料理店が、回答内容がどうであれ、即答できるようであれば、力強さを感じさせます。この経営理念は、店舗スタッフにとってマニュアルで対応できない、いざという時の判断基準となり、その店らしさも感じさせるようになります。

 その上で、【経営方針】を定める必要があります。例えば山形県に本社を置く株式会社でん六さんの経営理念は「豆を究め、喜びを作る」です。よって、同社の経営方針はこの経営理念と整合性がとれている必要がある、ということです。

【目標】設定の仕方

 同店は、3年後の売上高目標だけを掲げていましたが、そこに到達するためには、1年後にいくら、2年後にいくらという目標を設定することで3年後の目標が達成しやすくなります。

 例えば、「3年後の売上高目標5,000万円」とだけ設定した場合と、以下のように各年の目標を定めた場合を比較します。

 「1年後の売上高目標 2,000万円」
 「2年後の売上高目標 3,500万円」
 「3年後の売上高目標 5,000万円」

 仮に1年後に、売上高目標に届かなかったとします。すると2年後、3年後の目標を達成するために、打ち手を考える必要があります。これに対して、3年後だけの目標を設定した場合は、1年後、2年後の進捗を重要視しなくなり、結果として3年後の目標を達成する可能性が低くなるということです。

 その終着駅へその時刻に到着したかったら、終着駅までの各駅を通過する時刻を決めることで、その終着駅へその時刻に到着しやすくなる、ということです。

【プラン】と方針

 【今後のプラン】で重要なのは「時間軸」です。これがないケースが非常に多いのですが、時間軸がないプランのほとんどは方針となっています。例えば、同店は今後のプランとして以下の内容を記載していました。

 ・効果的なPRを行う。
 ・サービス向上に努める。
 ・新規顧客の獲得を図る。
 ・コンセプトを明確化する。

 これらは、店舗の方向性を示しており、プランではなく経営方針です。プランの項目として記載するなら、より具体的な行動を示す必要があります。

 例えば「効果的なPRを行う」のであれば、「看板の設置」「ホームぺージの更新」「SNSでの情報発信」「チラシの新聞折込」などがあります。また、「サービス向上に努める」のであれば「接客マニュアルの作成」「店舗ミーティングの開催」「OJTの実施」「昇給システムの見直し」などがあります。

 これらをいつ実施するのか示すことで初めて【今後のプラン】と言えるでしょう。

 今回のコラムでは、【経営方針】【目標】【今後のプラン】それぞれの考え方・記載の仕方について見てきました。次回は<補助事業計画>について見ていきます。

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