元日に休業しないガソリンスタンドの業績が厳しい3つの理由

戦略の考え方

 セブンイレブンが直営店50店舗において、2020年元日に休業の実験を始めます。この取組みは、直営店は元日に休むことができますが、加盟店は元日に休めないわけで加盟店のオーナーからは不満が爆発している状況です。

 なぜ、直営店は元日に休むことができて、加盟店はそうではないのか。これに対する明確な回答はセブン本部からは出ていないということですが、そもそも直営店、加盟店にかかわらず一斉休業はできないものなのでしょうか。

 これを考えたときに、あるガソリンスタンドの営業部長とのやり取りを思い出しました。今回のコラムでは、元日に休業しないガソリンスタンドの業績が厳しい理由について見ていきます。

休業しない理由

 かつて私は、当時約20店舗を展開するガソリンスタンドの運営会社で営業部長を務める方に、この一斉休業を提案したことがありましたが、それができない理由として以下のことを言われました。

 「当社が展開するガソリンスタンドのガソリン平均販売数量は1日で1店舗当たり5kℓ(5,000ℓ)ですから、一斉休業により5kℓ×20店舗で100kℓの機会損失が発生します。これは1つの店舗の月間販売量にほぼ相当しますから、一斉休業は無理です。」

 一見、もっともらしいこの発言、実は大きな問題が隠されています。

元日に休業しないガソリンスタンドの業績が厳しい理由1:利益の視点が欠けているから

 この部長は機会損失の根拠として、ガソリンの販売量を持ち出しています。ですが、この厳しい市場環境の中で生き残るためには、ガソリンの販売量よりも利益が重要なことは言うまでもありません。

 この部長が機会損失として挙げたガソリン100kℓを販売するに要する光熱費、人件費などの費用を考え、数量ではなく利益がどの程度失われるのかを検討する必要があります。

元日に休業しないガソリンスタンドの業績が厳しい理由2:中長期的視点が欠けているから

 元日に一斉休業することで1日に100kℓの機会損失が発生するということですが、元日に営業するということは、前日の大晦日で発生した洗車ラッシュで疲れ果てたスタッフが、疲労を押して出社してくる、ということです。

 エンジンオイルやタイヤなどガソリン以外の利益率が高い商品を油外商品と呼びますが、疲れ果てたスタッフの油外商品に対する販売意欲は当然、低下しています。さらに元日にご来店くださる顧客のほとんどが一見客であり、油外商品を購買してくださる可能性も高くありません。

 よって、成果が出ないことから、従業員満足度は低下します。それが積もり積もると退職という引き金を引くことになってしまいます。つまり、その日1日だけ見れば、機会損失が発生するのでそれを防止しようと営業をするのでしょうが、中長期的に見れば従業員満足度が低下し、人手不足に拍車をかけることとなってしまいます。

元日に休業しないガソリンスタンドの業績が厳しい理由3:古い慣習に囚われているから

 とにかく店を開けていれば売れた時代がありました。そんな、ひと昔もふた昔も前の成功体験をいまだに引きずって、元日も営業しているとしたら、時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ません。

 外部環境が大きく変化し、働く人の価値観も多様化している中、これまで開けていたから今年も開けるといった前例踏襲主義では、生き残ることは厳しいでしょう。

 そういう方に限って「元日でもガソリンを必要としている人がいる」といった社会貢献的なきれいごとを述べますが、その前に「元日だからこそ家族との時間を必要としている従業員がいる」といった足元の従業員満足を充足させることの方が、よっぽど社会に貢献しているのではないでしょうか。

 本日のコラムでは、元日に休業しないガソリンスタンドの業績が厳しい理由として、1.利益の視点が欠けているから、2.中長期的視点が欠けているから、3.古い慣習に囚われているから、を挙げました。

 重要なことは、これらの理由をもって、形式的に元日に休業すれば必ず業績が上がるということではなく、休業する意義を明確にする、ということです。企業が生き残るには、環境変化に応じた様々な改革が必要です。人手不足がますます深刻になってくる中、元日の休業も有効な一手だと思いますが、いかがでしょうか。

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