持続化補助金に採択された学習塾の申請書作成事例③

小規模事業者持続化補助金

 同社は、十数年前に英会話教室として創業しましたが、現在では、高校受験科目全般に対応しています。ですが、同社の教室が利用されるのは、主に学校での授業が終わってからであり、日中の時間帯に同社の教室をいかに稼働させるべきかという点が経営課題のひとつになっていました。

 そこで、外国人講師との人脈を活かし、地域住民に向けたカルチャー教室を英会話で提供することにしました。例えば、ヨガ教室を英会話で提供する場合、受講者が英語に馴染みがなくても、講師の身振り手振りでヨガ自体は学べるわけです。それは料理教室であれ、体操教室であれ同様なわけで、受講者はそのようなテーマを学べるだけでなく、英会話に慣れることができるというメリットもあります。

 同社はこの取組をチラシ、ポスター、ホームページで告知することにしましたが、その費用の一部を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。弊社は、同社における当補助金の計画書策定に関するご支援を行い、無事採択されたわけですが、採択される計画書を同社がどのように作成したのかをご紹介します。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」記入の仕方

(1) 当欄を2つに切り分ける

 計画書の内容について精度を向上させ、読み手の理解を促すためには、計画書内の各欄に内容ごとの見出しを設けることが効果的です。当欄のタイトルは「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」ですので、これを素直に受け取って【自社の強み】【自社の提供する商品・サービスの強み】という見出しとするべきでしょう。

 ただし、同社は学習塾というサービス業であり、商品を提供しているわけではないので、【自社の提供する商品・サービスの強み】は【自社の提供するサービスの強み】として見出しにしました。その上で、まずは【自社の強み】として何を記載するかを検討します。

(2) 【自社の強み】を4方向から検討する

 「強み」を弊社では、「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義しています。この「経営資源」は以下の4つに分類できます。

  • 人的資源:経営者やスタッフの経歴、スキル、キャラクターなど
  • 物的資源:店舗の立地、設備、提供する商品・サービスなど
  • 財務的資源:現金・預金、借入金、金融機関との関係性など
  • 情報的資源:ノウハウ、受発信している情報の質と量など

 重要なことは、上記4つに分類することではなく、4つの視点を活用して数多くの強みを洗い出すことですが、ここで「物的資源」について留意点を述べます。

(3) 「サービス」の捉え方に気を付ける

 まず、物的資源に分類される「サービス」の強みは、次の【自社が提供するサービスの強み】で記載しますので【自社の強み】の物的資源として記載しないようにします。

 そもそも、物的資源になぜ「物」ではない「サービス」が分類されるかということですが、サービス業が主に提供するのは、文字通り「サービス」であり、「物」ではありません。そこで、サービス業のメイン商品は「サービス」と捉えることができるためです。

 なお、同社の場合は、財務的資源に関する強みを見出すことができませんでしたが、その結果として概ね以下の内容でまとめました。

【自社の強み】の具体例

 人的資源の強み

  • 当社代表は、大学時代に留学経験があり、英会話が堪能であり、女性であることから、受講生の母親とのコミュニケーションが円滑である。
  • 外国人講師が定期的に登壇しており、英語の知識だけでなく、英語でコミュニケーションをとることや、海外の文化を知ることを重視している。
  • 高学歴かつ生徒の悩みに寄り添える信頼性の高い講師が多く在籍している。

 物的資源の強み

  • 校舎には複数の教室が完備されており、同時に複数の授業を展開することが可能である。

 情報的資源の強み

  • 後継者には動画作成、ネットでの情報発信のノウハウがあり、問合わせが増加している。
  • 受講生が参加できるイベントのノウハウがあり、これにより、固定化について一定の効果をあげている。
  • 中学校の教師との交流・連携体制が確立していることにより、学校の情報や生徒の特徴などの情報を得て、クラス編成・授業に活かすことができる。

【自社の提供するサービスの強み】の具体例

  • 海外に留学していた経験を活かした現地で使える英会話授業を提供できる。
  • もともと営利目的ではなく、趣味の範囲で知り合いに教えていた背景があり、授業料は他校に比べてリーズナブルな設定としているとともに、分割での支払いが可能であるなど融通が利きやすい。
  • 代表者はじめ、講師と受講生との距離が近く、個々の受講生の特徴に合わせた適応性の高い授業が提供できる。

 このようにして「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記載しましたが、次回のコラムでは「4.経営方針・目標と今後のプラン」について見ていきます。

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