低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった写真スタジオの事例①

小規模事業者持続化補助金

 同店は、写真撮影やその関連業務を主たる事業としていますが、新型コロナウイルス感染症の影響により客足が遠のき、業績が低下してしまいました。そこで店舗改装を行うこととしましたが、その費用の一部を小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>で調達するために計画書を作成し、申請したものの不採択という結果になりました。

 今回のコラムからは、同店が作成した計画書の内容に基づき、なぜ不採択という結果になったのか、想定される理由を検証し、採択される計画書の書き方を考えていきます。今回は<経営計画>「1.自社の事業概要」に記載された内容を取り上げます。

1.不採択の想定理由「自社の事業概要」編

(1)他の欄に書くべきことを書いている

 同店は3年間にわたる売上高と経常利益の推移を当欄に記載していました。この内容自体は理解できるものでしたが、今回見ている<経営計画>「1.自社の事業概要」に記載するべき内容とは思えません。

 というのも、当欄の次には「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」という欄が控えており、そちらに記載するべき内容であると判断できるからです。他の欄に書くべき内容を書いてしまうと、内容が散乱している印象を読み手に与え、混乱を招いてしまうリスクが高まってしまうため、このことが不採択理由のひとつとして想定されます。

(2)外部環境を分析していない

 同店は当欄に「顧客ニーズ」という見出しを設けていましたが、その内容は年代別の顧客構成比やリピート率であり、顧客ニーズではありませんでした。

 弊社では顧客ニーズを「自店を利用することにより、顧客が達成したい目的」と定義していますが、この顧客ニーズを充足させる取組が、業績回復に結びつくわけですから、しっかり顧客ニーズを洗い出していなかったことが、想定される不採択理由のひとつとして挙げられます。

 また、同店の当欄に記載した内容には、競合に関する記載がありませんでしたが、外部環境分析としては顧客だけでなく競合にも目を向ける必要があります。というのも、同店は当欄に「強み」を記載していたわけですが、これは競合と比べて差別的優位性のある経営資源ですから、競合動向を述べることで記載した強みの説得力が高まるからです。

(3)今後の戦略の記載がない

 今回見ている<経営計画>「1.自社の事業概要」ですが、当補助金の計画書フォーマットを見ると、当欄には以下の但し書きがあります。

 自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標等についても記載してください。

 太字部分は今後の戦略に関する内容であり、現状分析を通じて今後どのような事業展開をする予定なのか記載することが求められています。ですが、同店の記載してきた内容には、この記載がなく、読み手が求めていることに応えることができていませんでした。このことも不採択の想定理由として挙げられます。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>で不採択だった写真スタジオの計画書を題材に<経営計画>「1.自社の事業概要」から不採択の想定理由として、(1)他の欄に書くべきことを書いている、(2)外部環境を分析していない、(3)今後の戦略の記載がない、を挙げました。

 求められていることをしっかり見極めて、書くべき欄に書くようにすることで採択の可能性は高まります。次回は「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」を取り上げて不採択の想定理由を検討していきます。

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