エステサロンの同店は創業後、有料の宣伝広告にはさほど力を入れずとも何とか事業が継続でき、17年が経過していました。しかし、最近平日の来店客数が非常に少なくなってきたことに危機感を抱いておりました。
そこで、スマートフォンに対応したホームページの立上げとweb広告を実施しようと考え、その費用の一部を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。
この際に、弊社は同店が予め作成した計画書をブラッシュアップするためにご支援しましたが、採択の可能性を高めるためにどのような観点からこれを行ったのかをご紹介します。
今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」のうち、【顧客ニーズ】の部分を見ていきます。

1.「顧客ニーズと市場の動向」【顧客ニーズ】記載の仕方
同店が事前に記載されてきた「顧客ニーズと市場の動向」は概ね以下の内容となっていました。
①今後は働く女性が増えて、仕事のストレスを軽減させたり、多忙の中短時間で効果を求めたりするようになってくるため、肌の手入れは専門家へ依頼したいというニーズがある。
②近隣に新築マンションが次々と建設されて、他の地域から移住してくる人が増加している。
③「美と健康」に今まで以上に関心が高まり、エステサロンを利用する中高年女性の増加が見込まれる。
④エステサロンは自宅マンションなどで開業するところも多く見られ、当店の営業しているビルにも同業店が直近2年間で2件開業した。
⑤資金不足などにより、今まで積極的に宣伝をしなかったため、当店を知らない地域住民が数多くいる点、平日昼間の時間帯にベッドの空きが多く見られる点が、今後の課題となっている。
上記のうち【顧客ニーズ】に関してどのようにブラッシュアップしていったかを以下で見ていきます。
(1) 見出しを設ける
当欄は「顧客ニーズと市場の動向」を記載する欄ですが、読み手に伝わりやすくするには、思いつくまま記載するのではなく、洗い出した内容をグルーピングし、見出しを設けてまとめると読みやすく、伝わりやすくなります。
そこで【顧客ニーズ】【市場の動向】という見出しを設けていただき、記載してきた内容を各見出しの下に置いていただきました。上記①が【顧客ニーズ】、②③④が【市場の動向】ということになりますが、その上で【顧客ニーズ】【市場の動向】それぞれのブラッシュアップをしていきます。
(2) 多くのニーズを洗い出す
今回取り上げる【顧客ニーズ】の内容ですが、上記①だけの記載では、補助金を交付しても成果を見込むことは困難と考えられ、採択が厳しいことがうかがえます。多様な顧客ニーズに応えることにより、多くの顧客が同店を利用することが見込め、そこで大きな成果を見込むことができるからです。そこで、多くの顧客ニーズを記載する必要があります。
そのためには、「1.企業概要」で取り上げた、同店の収益の柱となっているブライダルエステ、フェイシャルエステ、化粧品それぞれに対する顧客ニーズを検討する必要があります。日々の顧客とのやり取りを振り返っていただき、これらを洗い出していただきました。
重要なことは、その顧客ニーズをより満たすために、補助金を使うということです。これを意識せずに、補助事業と関連のない顧客ニーズを中心に列挙することは、補助金を交付する必要は無いと判断される可能性を高めてしまいます。
このようにして、同店が書かれてきた「2.顧客ニーズと市場の動向」の【顧客ニーズ】の部分をブラッシュアップしていきましたが、次回のコラムでは【市場の動向】を見ていきます。
当シリーズのバックナンバーです。
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