売れる店舗にするために上司が理解しておきたい率先垂範の意義

戦略の考え方

店舗で売れる仕組みを作る

 かつて、自信とモチベーションに記載した水抜き剤。私はガソリンスタンド運営会社に在職していた頃、この水抜き剤を売るのが得意でした。

 主たる成分がアルコールである、この水抜き剤は、車両の燃料タンク内で結露により発生した水をガソリンと中和し、エンジン内で燃焼させることにより、タンク内の水を除去することができる、というものです。ちなみに現在の車両は結露は発生しないこととなっているようです。

 かつて、あるガソリンスタンドに配属された私は、その数ヶ月後に1人で月間数百本の水抜き剤を販売し、周囲を驚かせました。また、私に触発された他のスタッフも水抜き剤の販売に奮闘し、この月の店舗全体で販売した本数は、その店舗がオープンして以来のギネス記録となりました。

 この時に気になったのが、店舗全体の販売本数のうち、そのほとんどが私を含めた特定かつ少数のスタッフで販売していた、ということです。水抜き剤の販売に熱心なスタッフとそうでないスタッフの温度差や実力差が大きかったのです。

 このことは、それら少数の販売力があるスタッフが転勤で、その店舗を去ると途端に店舗の業績が下がってしまうことを危惧させるきっかけになりました。

店舗で売れる仕組みを作るプロセス

 販売力の高いスタッフが他店舗へ転勤した場合、赴任先でたくさん売ることと思います。しかし、もともといた店舗の売上が落ちれば、会社全体の売上は変わらないこととなります。
 属人的なスキルで販売するのではなく、仕組みで販売しなければ、事業が成長する可能性は高くはならないのです。

 そこで私は、販売力の高くないスタッフに対して、水抜き剤の知識を教えた上で、給油口の裏蓋に日付が記入された「水抜き剤注入済み」のシールが貼られている場合は、3か月経過後に声を掛けると効果的であること、当該シールがない場合は、水抜き剤の効果をしっかり説明すること、をルール化しました。

 その上で給油している最中に、私が車両の裏蓋をチェックし、他のスタッフに「『そろそろ水抜き剤を入れた方がいいですよ』と言ってきてください」、「水抜き剤の効果を説明してきてください」と指示を出すようにしました。

 そうこうしているうちに、スタッフも販売のコツを掴んだり、声を掛けると成果が出るということを認識したり、と私がスタッフに声を掛けずとも、自主的に水抜き剤を販売するようになりました。

 この取り組みをまとめると以下になります。
 ①率先垂範する
 ②知識を教える
 ③対象顧客に応じた対応をルール化する
 ④現場でフォローする

 このプロセスにより、売れる仕組みが出来上がりました。結果として、その月の水抜き剤の販売量は、私が中心となって打ち立てたギネス記録を数百本上回ることとなりました。

 店舗の実績を向上させるために、店長自身が販売に邁進する例はよく見かけます。しかし、単なる独り相撲であり、店舗の実績向上に結びついていない例もよく見かけます。
 率先垂範は、売れる仕組みを作るためのプロセスであることを意識して取り組みたいですし、本部・本社もそれができているかをフォローしていくべきといえるでしょう。

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