今後生き残りが厳しいと予想される小売店の経営者に見られる特徴

経営の姿勢

 経営者が、自店の扱う商品に愛着を持つことができなければ、それを販売する行為には問題があると考えます。扱う商品に関する知識や利便性をいくら知っていても、また、どんなに巧みな販売技術があっても、その商売に対する姿勢は店舗スタッフに伝わりますし、顧客は違和感を抱きます。
 
 自社の扱う商品に愛着の持てない経営者の下で働く店舗スタッフが、それに愛着を持てるとは考えにくいですし、そのような前提で接客された顧客は違和感を抱き、同店での購買意欲が減退し、他店もしくは、大型ショッピングセンターやネット通販など他の業態で買い物を済ませるでしょう。

 顧客の嗜好や買い方が多様化した今、顧客は商品だけでなく、その商売に対する姿勢にも厳しい目を注ぎます。そして、その感想は、リアルの口コミだけでなく、インターネットの口コミサイトで瞬く間に広がっていきます。

 今回のコラムでは、そのような商売に対する姿勢を取り上げ、生き残る小売店の経営者における前提条件について見ていきたいと思います。

呉服を着ない呉服店の経営者

 矢野経済研究所の調査によると、呉服の市場規模は1980年前後のピーク時は1兆8,000億円でしたが、2005年は6,100億円、さらに2016年の予測では2,830億円と年を追うごとに大幅に縮小しています。
 さらに、インターネットでの販売やレンタルが定着しつつある中、昔ながらの呉服店は苦境に陥っている場合が多く、弊社はこれまで複数の呉服店に対してご支援をしてきました。
 
 呉服店の経営者とお会いして、「この経営者だったら生き残ることができる」と感じることもありますし、「この経営者だったら生き残ることは厳しいだろうな」と感じることもあります。
 その判断基準は、経営者が呉服を着ているかどうか、です。なぜ呉服を着ないのかとその経営者に尋ねると、言葉を濁し、明確な回答を得たことはこれまで一度もありません。

 ある家電販売店の経営者にも同様の特徴がありました。

自社で取り扱うパソコンを使わない家電販売店の経営者

 家電製品の販売店も、家電量販店やネット通販に押されて苦境に陥っているケースが多く、ご相談の多い業種です。ある日、Xメーカーの家電製品を専門に扱う販売店の経営者とご面談することとなりました。ご面談の場に現われたその経営者は、持参したノートパソコンを鞄から出しました。

 そのパソコンは、Xメーカーのライバル会社のパソコンでした。なぜXメーカーではなく、違うメーカーのパソコンを使っているのかと訪ねると、「X製品は高いから」という回答でした。

 このような経営者の方々に共通するのは「店頭に並べれば売れた時代」を経験しており、今のご時世に対応できていない、ということです。

DNAに擦り込まれた成功体験

 かつて日本経済が高度成長期と呼ばれた頃、モノは店頭に並べれば勝手に売れていきました。販売する側が、自店で取り扱う商品に愛着を持っていなくても売れたのです。そのような商売で旨味を得た経営者やその姿を見て育った後継者は、現在が厳しい時代だということを知ってはいますが、分かってはいません。よって、販売姿勢にどこか甘えを感じさせます。

 かつて弊社がご支援していたスポーツ用品店では、店舗スタッフがグラブを「この子」と呼んでいました。「この子はピッチャーが使うのに適しているんですよ」、「この子は最新型のモデルでして」といった物言いをします。私が行きつけの携帯ショップのスタッフも同様に携帯端末を「この子」と呼びます。

 そこから感じるのは、自店で取り扱う商品への愛情です。我が子を嫁に出す気持ちで商売をしている、と言うのは大袈裟にせよ、それに近いものを感じます。

 モノが溢れかえっている今のご時世で、自店で扱う商品に愛着が持てない、使いたくない、使っていない経営者が、顧客に自店で扱う商品を販売することは可能なのでしょうか。不可能ではないにせよ、多くの顧客は、買ってくれないでしょう。

 生き残る小売店の経営者と、生き残ることができない小売店の経営者では、その商売に対する姿勢から滲み出るものが違います。小売店が生き残るためには、自店で取り扱う商品に対して、経営者自身が愛情を抱くことができているかを検討することが大前提であると言えるでしょう。

商売の前提に関する参考コラム

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