仕事で「気が利く」と言われるスタッフを育てる3つの視点

人材育成

 そのガソリンスタンドは、店長の他に右腕として主任が、その下に一般社員が配属されていました。また、アルバイトスタッフは総勢20名ほどが登録されていますが、そのアルバイトスタッフの中に石川(仮名)君という方がいました。

 ある日、職場のゴミ袋が切れていたことに気付いた主任は、石川君に「そこのコンビニに行ってゴミ袋を買ってきて下さい。領収書をもらうのを忘れないでね」と指示を出し、レジから現金を渡しました。

 ほどなくして、コンビニから帰ってきた石川君と何やらやり取りをした主任が、店長に領収書を持って来て笑いを堪えながら「店長、これどうしますか?」と言いました。その領収書を見ると、宛名が当社の社名ではなく「石川様」になっているのです。

 石川君はコンビニのレジで「領収書を下さい」と言い、コンビニのスタッフは石川君に「お名前は?」と訊きました。石川君は「はい、石川です」と答えたわけで、宛名が「石川様」の領収書が発行された、というわけです。

 今回のコラムでは、この事例を通じて、気の利くスタッフを育てる視点について見ていきます。

気の利くスタッフを育てる視点1:言葉だけのやり取りに終始させない

 石川君は、コンビニのスタッフに名前を訊かれて名前を答えました。これが上っ面だけの言葉だけのやり取りです。これは、ガソリンを燃料とする軽自動車に乗ってきた顧客に「軽油満タン」と言われたスタッフが、軽油を給油する行為と遜色ありません。

 石川君が、コンビニのスタッフと本当のコミュニケーションをとるならば「あの、領収書をいただく時って名前を名乗らなければいけないのでしょうか」と尋ねたり、「名前は、私の名前でしょうか、会社の名前でしょうか」と尋ねたりするでしょう。

 よって、ガソリンスタンドの管理職は、スタッフ同士やスタッフと顧客とのコミュニケーションから言葉だけのやり取りに終始していないか、そして、自身がスタッフと接する際にそのようなコミュニケーションになっていないかを顧みる必要があります。

気の利くスタッフを育てる視点2:「その先」を想像させる

 石川君は、自分がもらってきた領収書がその後、どのように使われるのかを一切想定していないため「石川様」宛の領収書をもらってきました。

 フルサービスのガソリンスタンドで、給油中に車両の窓ガラスを拭く際に、拭かれたその先を想像できないスタッフは、油のついた雑巾で窓の汚れを伸ばし、視界をさらに悪くしてしまいます。ですが、そのようなスタッフは、窓を拭けと言われたから拭いたと言います。

 同様のケースで、車両の窓ガラスを拭いたその先を想像できるスタッフは、しっかり洗濯されたタオルを用い、顧客の許可を得た上でガラス用の洗剤をつけて窓を拭きます。汚れが伸びたようであれば再度拭き直します。これにより、今以上にドライバーの視界はクリアになります。

 よって、ガソリンスタンドの管理職は、スタッフに指示を出す際は、その先を想像させる働きかけをする必要があります。これを繰り返すことにより、スタッフにその習慣が身に着くこととなります。

気の利くスタッフを育てる視点3:価値観が違うことを認識する

 先の石川君の事例では、石川君へお使いを頼む際に、領収書がどのように使われるのかを説明する、もしくは想像させる働きかけが必要でした。これに対して「そんなの自分で考えろ」と思う方もいるでしょう。

 日本経済が高度成長期の頃は、それで構いませんでした。なぜなら、その頃は長く勤務することに意義があったからです。長く勤務すれば、昇給・昇格が約束されていた時代であり、そのためには、教えてくれないなら必死に見て覚え、職場に居続ける必要があったからです。

 そんな父親の働き方や価値観を受け継いだ40代以上の世代には「そんなの自分で考えろ」的な接し方でも良いのかもしれません。

 ですが、現代の若年層は、バブル崩壊後に働く父親を見てきた世代です。リストラという名の解雇、ボーナスカット、早期退職制度がまかり通る中、転職を繰り返すことに何の違和感も抱かない世代です。

 このような世代に「そんなの自分で考えろ」的な接し方をすると、あっさり職場に見切りをつける可能性が高まりますので、原則として、面倒見良く、噛んで含めるように教える必要があります。「最近の若い者は…」などと言っていても状況は変わらないのです。

 今回のコラムでは、仕事で「気が利く」と言われるスタッフを育てる3つの視点として、1.言葉だけのやり取りに終始させない、2.「その先」を想像させる、3.価値観が違うことを認識する、を挙げました。

 このような視点により、人材育成を進め、気の利くスタッフをどんどん輩出する職場を作られることを願っています。そしてそのことが、リアル店舗としてネット通販との大きな差別的優位性となるでしょう。

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