生き残るガソリンスタンドが空気圧点検だけの顧客を歓迎する理由

客単価向上

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 今月の検索ワードで目立つのは、「ガソリンスタンド 空気圧 料金」の組み合わせです。これは一般ユーザーが、時期的に夏タイヤから冬タイヤへ交換したり、年末年始の車での帰省を準備したりする中、タイヤの空気圧が気になるものの、ガソリンスタンドでその点検はしてくれるのか、その場合の料金はいくらなのか、といった疑問を反映したもののはずです。

 多くのガソリンスタンドは空気圧点検を無料で実施していますが、実際問題、給油すらせずに空気圧点検を依頼する顧客は、困った顧客に分類しがちです。しかし、本当に困った顧客なのでしょうか。

 その場限りの視点で見ると困った顧客になるのかもしれません。ですが、長いスパンの視点で見ると実はこのような顧客こそ大事な顧客となり得ます。そこで、今回のコラムでは、生き残るガソリンスタンドが空気圧点検だけの顧客を歓迎する理由を見ていきます。

なぜ眼鏡店は調整・交換の料金をいただかないのか

 私は、眼鏡を利用して生活をしているので、眼鏡がずり落ちてくるようになったり、鼻あてが汚れたりすると眼鏡店に行きますが、その際の調整・交換料金はすべて無料です。

 これは、自店に足を運んでいただき、ゆくゆくは眼鏡の購入に繋げていこうという意図を反映しています。人に何かをしてもらうとお返しをしなければいけない心理になることを返報性の原理といいますが、これを活用しようという取り組みです。

 ガソリンスタンドもタイヤの販売に繋げていきたいならば、給油をせず空気圧点検だけを依頼する顧客を歓迎し、無料で実施するべきでしょう。

 「空気を見て欲しいならせめて給油くらいしろよ」という気持ちを顧客に抱いてしまうと往々にして、それが顧客に伝わります。結果として、居心地の悪い思いをした顧客は、タイヤの購入時期が来た時に別の店舗を利用することとなり、機会損失が発生してしまいます。

 よって、なぜ空気圧点検だけの顧客を歓迎するべきか、その理由をスタッフ間で共有するとともに、以下で見ていく空気圧点検の台数を増加させるための施策をとる必要があります。

「おひとり様歓迎」の居酒屋がなぜ増えたのか

 最近、街を歩くと「おひとり様歓迎」「ちょいのみ歓迎」といった告知物を店頭に掲示する居酒屋さんが増加した印象があります。消費税率の引き上げ、自宅で飲む中食需要の増加、ファミレスやファストフード店でのアルコール提供など、様々な逆風が吹く中、少しでも顧客が欲しいという意図の現れだと理解しています。

 出張に行った際にひとりで知らない街の居酒屋に入店する場合に、このような告知があると入店の敷居がグッと下がるのは私だけではないはずです。ガソリンスタンドも同様に「空気圧点検のみのお客様歓迎」という告知をすることは、集客力が上がれども下がることはまず考えられません。

 ガソリンの需要が減少する中、少しでも顧客が欲しいのはガソリンスタンドも同様なわけで、その場で売上にならなくとも、返報性の原理により、後日タイヤが売れる可能性が高まるのであれば、このような告知物の掲示は行っても損はないはずです。

 年末に向け、タイヤの空気圧点検の需要は高まるものと思われ、忙しくても気持ちよくタイヤの空気圧点検に応じることができる店舗は、タイヤが売れ、生き残っていくことでしょう。

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