残念なガソリンスタンド事典(販売編)

残念なガソリンスタンド事典

 ガソリンスタンドは、ガソリンや軽油といった燃料以外の商品、具体的には、オイル、タイヤ、洗車など油外商品と呼ばれる商品の販売で収益を上げていく必要があります。しかし、この取り組みも行き過ぎると客離れに拍車がかかります。

 そこで今回のコラムでは、そのような事態に陥らないようにすることを目的に、残念なガソリンスタンドの油外商品販売を見ていきます。

残念なガソリンスタンドの販売1:必要以上に脅す

 「今、交換しないと危険ですよ」という台詞は、ガソリンスタンドの販売における常套句ですが、顧客としては、それが本当なのか、自分の無知に付け込んでいるのではないか、といった不安を抱きます。

 この不安を抱く理由として挙げられるのは、勧めてくるスタッフからリスペクトの念が感じられないからというものがあります。本当に顧客のことを思って言ってくれているという雰囲気がないのです。

 この場合、経営者が部下である管理職や店長をリスペクトしていないケースがほとんどです。リスペクトされたことのない人は、他人をリスペクトできないものです。スタッフに対する会社の接し方は、スタッフの顧客に対する接し方を表すものです。

残念なガソリンスタンドの販売2:嵩(かさ)にかかる

 エンジンオイル交換を勧められ、それに応じたところ、バッテリー、ラジエターの水、オートマチックオイルの交換を勧めてくるという嵩にかかった販売をするケースがあります。挙句の果てにはタイヤもブレーキも変えたほうがいいとか、交換するところが有り過ぎで車を交換した方がいいんじゃないか、いい加減にしろ!と言いたくなるケースがあります。

 このような販売の仕方に顧客が立腹する理由の一つに、スタッフと顧客の関係性が構築されていないから、というものがあります。とにかく売れればいい、店舗さえ儲かれば顧客の負担はどうでもいいという考えは、3か月の交際で1億円(本当は2,3億らしい)を貢がせ、その後スピード離婚し、炎上し続ける某女性タレントと通じるものがあるはずです。

残念なガソリンスタンドの販売3:顧客を放置する

 タイヤ交換を承ったら、作業の予想所要時間をお伝えするとともに、作業の途中で「今、2本交換が終わりました。あと2本交換するので〇分ほどお待ちください」など作業の進捗を伝える必要があります。

 顧客の待合室から作業状況を簡単に見ることができるレイアウトのガソリンスタンドは多くありません。よって、この進捗報告がなく放っておかれると、顧客によっては不安を感じる場合があります。

 さらには、待合室の雑誌を客層に合わせたものにしておいたり、ひざ掛けを準備したりするなど快適性も検討しなければいけません。

残念なガソリンスタンドの販売4:顧客の許可を得ない

 例えば洗車なら洗車の作業をしてもらうために、顧客は車両をスタッフに預けます。エンジンルームの点検をしてもらうために預けるわけではありません。ですが、車両を預かると何をしても良い免罪符を与えられたと勘違いするガソリンスタンドもあります。

 「車両を預ける=何をしても良い」という関係性を構築できるまでは、洗車で預かった車両のエンジンルーム点検はするべきではありません。点検をしたいのであれば、顧客から許可を得るべきです。

残念なガソリンスタンドの販売5:説明不足

 一般には、顧客よりガソリンスタンドのスタッフの方が車に詳しいわけですが、エンジンオイルなりタイヤなりの交換を勧めるのであれば、なぜ交換しなければならないのか、顧客が納得できるように説明ができて初めてプロと呼べるでしょう。

 よって、説明話法をブラッシュアップさせたり、図、写真、模型などを用いて交換理由を納得いただけるようにするべきです。これがないことが、ガソリンスタンドの販売が押し売りと呼ばれる理由のひとつです。

 ガソリンスタンドの軒数が大きく減少したのは、ガソリンの需要が減ったからだけでなく、このような販売がユーザーから呆れられたという点も十分考えられることを踏まえて、今後の販売をしていく必要があります。

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