コロナ禍で生き残りを図るガソリンスタンドがとるべき3つの戦略

組織力強化

 ガソリンスタンドを取り巻く環境は厳しい状態が続いています。短期的には緊急事態宣言の発出とその延長による外出自粛がガソリンの消費量を減少させていますし、コロナ禍で収入が減少してしまった世帯も相応にあり、オイルやタイヤ交換、洗車などガソリン以外の商品である油外商品の購入に対するハードルも上がっています。

 ですが、そのような中でもしっかりと販売をすることができているガソリンスタンドが存在することも事実です。今回のコラムでは、厳しい環境の中で生き残りを図るガソリンスタンドが検討するべき戦略をご紹介します。

1. 生き残りを図るガソリンスタンドの戦略

生き残りを図るガソリンスタンドの戦略(1)プル戦略

 プル戦略は、自店へ顧客を呼び寄せる戦略です。ガソリンスタンドは基本的に屋外フィールドで給油しますので、集客をしたとしても、いわゆる「3つの密」の1つである「密閉」は避けることが容易です。そのような意味ではコロナ禍の中、ガソリンスタンドにおけるプル戦略の充実はハードルの高いものではありません。

 このプル戦略の具体的な手法のひとつに広告があります。ガソリンスタンドの広告は、伝統的に新聞折込みチラシが活用されていますが、コロナ禍で他人が触ったものに触りたくないという意識が働く人も想定されます。

 そこで、web広告を活用することとなりますが、その前提としてホームページを保有する必要があります。web広告はホームページへの誘導手段であるからです。このホームページ作成やweb広告出稿の費用負担を軽減するものが小規模事業者持続化補助金です。当補助金に関して具体的には以下のコラムをご参考して下さい。

 令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金について1
 持続化補助金で押さえるべき最新版【公募要領】3つのポイント
 小規模事業者持続化補助金の採択事例集

生き残りを図るガソリンスタンドの戦略(2)プッシュ戦略

 プッシュ戦略は、ご来店なさった顧客に店舗側が販売を仕掛けていくものであり、ガソリンスタンドにおけるプッシュ戦略の最たるものは人的販売です。

 人的販売のポイントは商品知識の豊富さやセールストークの巧拙よりも、スタッフのモチベーションであり、管理職はモチベーション向上の仕組みを知っておく必要があります。以下のコラムをご参考にして下さい。

 ベテラン社員のモチベーション
 毎年の賞与が払えない!それでも「言葉」が退職を防ぐ理由
 年上の部下への対応

 このようなモチベーション向上の仕組みを踏まえて部下に接するとともに、人的販売を補完するツールとして、チラシ、価格表、ポイントカードといった非人的販売も強化することにより、効果が出やすくなります。そしてその費用は、前述の小規模事業者持続化補助金を活用することで負担が軽くなります。

生き残りを図るガソリンスタンドの戦略(3)プット戦略

 プット戦略は、顧客から「タイヤ交換お願いします」と購買意思を表示していただく取組になります。プッシュ戦略がどちらかといえば「タイヤ交換お願いします」と言わせる方向であるのに対して、プット戦略はスタッフが働きかける前に顧客の方から「タイヤ交換お願いします」と自発的に言っていただく方向です。

 具体的な方策としてはPOPが挙げられます。これは「Point of purchase advertising」(購買時点広告)の頭文字から取った略語で、主に小売店の店頭・店内で用いられる広告媒体となります。POPの作成に関しては以下のコラムをご参考にして下さい。

 「飲食物持ち込み禁止」は効果なし!POPの効果を上げるための5つの考え方
 飲食店の効果的なPOP3つの特徴

 今回のコラムでは、コロナ禍で生き残りを図るガソリンスタンドがとるべき3つの戦略として、(1)プル戦略、(2)プッシュ戦略、(3)プット戦略を挙げました。販売促進の戦略を3方向からバランス良く展開していただければと思います。

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