食べ歩きに対する「飲食物持ち込み禁止」のPOP効果を上げる方策

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 「ちっ、また汚された…」観光地に立地する店舗で働くAさんが舌打ちをしました。Aさんは、勤務中に来店客が途絶えたのを見計らい、乱れた商品の陳列を直そうと、陳列棚に近づきました。すると、商品にソフトクリームと思われるクリーム状の汚れが付いていました。

 観光客が増加し、来店客数も増加傾向であることは良いのですが、毎度毎度、食べ歩きをする顧客が持ち込む飲食物で商品を汚され、場合によっては、汚された商品が売り物にならない場合もあります。今回のコラムでは、そのような背景が推測されるある店舗のPOPを題材に、どのようなPOPのメッセージが効果的なのかを見ていきます。

1.POPの効果を上げる考え方

 弊社が所在する、埼玉県川越市は人口35万人ほどの城下町ですが、蔵造りの街並が観光客に人気であり、その他にもNHK連続テレビ小説の舞台になったり、お祭りの山車がユネスコ無形文化財に登録されたりといった背景があり、観光客は増加する一方です。平成30年にはついに入込数が過去最高の734万2千人にのぼりました。

 この川越の観光名所のひとつに菓子屋横丁があります。菓子屋横丁は、色とりどりのガラスが散りばめられた石畳の道に、駄菓子店含めレトロな店舗が20ほどひしめく通りとなっています。

 先日、その菓子屋横丁を通った際に以下のPOPが目に留まりました。

 昨今、観光地では訪れる顧客のマナーを問う声があがっていますが、この「飲食物持ち込み禁止」というメッセージにどの程度の効果があるのか疑問に思いました。もっと効果的なメッセージはないものか考えてみます。

POPの効果を上げる考え方(1)理由を訴求する

 なぜ飲食物を持ち込んではいけないのかというと、前述の例の場合では商品の汚損を防ぐためです。これを認識していない、もしくは認識の浅い顧客が飲食物を持ち込んでいるとしたら、それを認識させる、もしくは認識を深めるためのPOPが必要と言えます。

 よって「飲食物持ち込み禁止」だけでなく「商品の汚損防止のため、飲食物の持ち込みはご遠慮ください」といったPOPを掲示することも一考です。そんなの当たり前と思う方もいるかもしれませんが、店側が思うほど顧客は店のことを考えていないものです。

 持ち込み禁止の理由を掲示するだけで、理解を示す顧客、その意図に気付いていただける顧客も一定数いるのではないでしょうか。

POPの効果を上げる考え方(2)ごみ箱・ベンチを設置する

 食べ歩きで問題になるのは、その飲食物に用いたパッケージなどのごみですが、そのごみを捨てる場所があれば、そこで食べきってしまう可能性が発生します。そこで、店頭にごみ箱とベンチを置き「食べ歩きのごみはここに捨ててからご入店ください」というPOPを掲示することにより、食べ歩きの飲食物を店内に持ち込む可能性を低下させることが可能です。

 ただし、自店で購入した商品のごみならともかく、他店で購入した商品のごみを受け入れ、処分する手間や負担を受け入れることに抵抗がある事業者もいると思います。まずは、このごみ箱を設置することによる以下のメリットを検討してみましょう。

 ①商品汚損による廃棄コストの低減
 ②ごみを捨てに来ることによる集客効果

 また市役所など公的機関に当該コストの負担に関する相談や、食べ歩きの飲食物を販売する事業者に対して購入者に食べながら他店へ入店することを防止するメッセージを発していただく働きかけを依頼することも一考です。

 今回のコラムでは、食べ歩きに対する「飲食物持ち込み禁止」のPOP効果を上げる方策として、(1)理由を訴求する、(2)ごみ箱・ベンチを設置する、を挙げました。これらによって効果を上げていただきたいと思います。

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