4年連続赤字のガソリンスタンドをひと月で黒字にした3つの方法

客単価向上

 そのフルサービスのガソリンスタンドに勤務する正社員は店長1名、その他のスタッフは全員アルバイト。それもキャリア数週間から数ヶ月の新人スタッフがほとんどです。この店舗は、4年以上赤字の状態が続き、閉鎖も検討されていました。

 そんなガソリンスタンドに人事異動で赴任したA氏は、過去4年間、誰が店長をやっても赤字から脱却できなかったこのガソリンスタンドをひと月で黒字へ転換させました。今回のコラムではその方法を見ていきます。

1.4年連続赤字のガソリンスタンドをひと月で黒字にした方法

4年連続赤字のガソリンスタンドをひと月で黒字にした方法(1)店長の給油作業からの脱却

 まず、当地区は価格競争が激しく、ガソリンや軽油といった燃料油で収益を上げようとしてもなかなか困難な状況でした。人件費をはじめとした経費削減のために店長以外の正社員は配属をせず、人員はアルバイトスタッフで固めていました。

 経費削減は行き着くところまで行き着いたこの店舗を黒字にするには、限られたコストでタイヤやエンジンオイルといった油外商品を販売することが必要になってきます。

 しかし、当時のスタッフに油外商品販売のスキルはほとんどありませんでしたから、店長であるA氏が販売するしかありません。よって、A氏はいかに給油作業をしないで、油外販売に集中するかがポイントとなってきます。

 そこで、まずA氏が給油作業をしなくて済むように、この作業を分割して考えました。顧客が運転する車両が入店し、給油位置に停まると、そこからの作業は、受注→支払方法や給油量に応じた給油機器のセッティング→給油開始→ゴミ清掃・窓拭き→給油完了→精算・お見送り、というステップで行われます。

 このガソリンスタンドは同時に8台給油することが可能であり、各給油場所に番号が振ってあります。そこでA氏は、店舗が混雑してくると「○○君、2番のゴミ清掃・窓拭きを」「□□さん、5番、給油完了させて」といった指示を出すことに徹し、給油作業をアルバイトスタッフに任せるようにしました。

 これを繰り返すことにより、アルバイトスタッフが徐々に全体像が分かるようになり、A氏が給油に携わることなく、油外商品販売に集中することができました。

4年連続赤字のガソリンスタンドをひと月で黒字にした方法(2)全自動機器類の活用

 油外商品は様々なものがあり、その車両にとって補充・交換の必要性が高いものからお勧めしていく必要がありますが、その必要性が同レベルの場合などに優先して販売していく油外商品をATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)にしました。

 オートマ車はDレンジで走行していると、自動的にギアチェンジがなされ、この際に車体には「カクン」といった軽いショックが伝わります。ATFは、オートマ車に入っている液体ですが、これが劣化するとギアチェンジの際のショックが大きくなり、燃費の悪化にも繋がります。

 よって一定の距離数が積み重なったり期間が経過したりした場合に、交換が必要と判断するケースがあるわけですが、このガソリンスタンドでは、ATFの交換作業を全自動で行うことのできる機械が設置されており、A氏はこれに着目しました。ATFの全自動交換機をセットしさえすれば、約15分間は、他の作業ができるわけで、これが功を奏しました。

4年連続赤字のガソリンスタンドをひと月で黒字にした方法(3)メニューの改定

 ATFの交換は、エンジンオイルのように古いものを一度に全部抜いて、新しいものを入れるわけではありません。構造上、古いATFを一部抜いて新しいATFを入れて新しいものの割合を増やします。これを2回3回と繰り返して新しいATFの割合をさらに増やしていくわけですが、4回5回と繰り返すと新しいATFの割合がかなり増加します。

 当然、2回の作業より5回の方が使うATFの量も増加し、価格も上がっていくこととなります。そこで、A氏はATFの交換作業に松竹梅の3コースをもうけました。「松」は20リットル使用、「竹」は12リットル使用、「梅」は7リットル使用の設定であり、価格も当然「松」が一番高く、「梅」が一番安いわけですが、1リットル当たりの価格は、使用量が多ければ多いほど安くなる設定としました。

 このような設定では、当然「竹」を依頼されることが多くなりますが、従来のATF交換は「梅」しかありませんでした。結果として、客単価は向上することとなりました。

 今回のコラムでは、4年連続赤字のガソリンスタンドをひと月で黒字にした方法として、(1)店長の給油作業からの脱却、(2)全自動機器類の活用、(3)メニューの改定、を挙げました。

 重要なことは、自分でやらなくて済むことは他人や機械に任せ、売れる仕組みを考えるということ、そして店長の何が何でも黒字にするという強い意志を持つことです。「意思あるところに道は開ける(Where there’s a will、there’s a way)」とは米国の元大統領リンカーン氏の言葉です。ぜひ、取り組んでみて下さい。

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