飲食店が人手不足を解消するために行うべき3つの取組み

人材確保

 先日、人手不足に全く縁のない飲食店の経営者とご面談する機会に恵まれました。新型コロナウイルスの影響で、多くの飲食店は厳しい状況に陥っていますが、この飲食店のランチタイムは、連日お客様が殺到しています。

 しかし、人員は質・量ともに充足しており、高い顧客満足を提供しています。今回のコラムでは、このような繁盛店の取組みから、どのように人手不足を解消するべきかを見ていきます。

飲食店が人手不足を解消するために行うべき取組み1:顧客をスカウトする

 この飲食店は、ご夫婦で開業して10年以上が経過しますが、開業以来、ご主人が厨房、奥様がホールを担当し、パートタイム勤務のスタッフが6名在籍しています。そして、同店は開業以来、【募集広告を一切出さずに】スタッフを確保してきました。

 実は同店のスタッフは、全員が同店の顧客だった方でした。この店舗を切り盛りするご夫婦は、オーダーをとる際、ドリンクや料理を提供する際、会計をする際など顧客と接する際に、顧客の人柄を見極めるようにしていました。

 特に「普通の食材を使った、普通ではない料理を通して、地域の人に喜んでいただく」というポリシーを理解していただけるかどうかを判断します。つまり、【日々の営業活動が採用のための面接活動】でもある、ということです。

 そして、同店を切り盛りするご夫婦の目に適った顧客には、同店で働くつもりはないか声を掛けるようにして、スタッフを充実させていきました。

飲食店が人手不足を解消するために行うべき取組み2:充実した「まかない」を提供する

 同店が提供する料理は、前述の通り、家庭の主婦が普通に入手できる食材を使っていますが、その調理方法により、素材の美味しさを十二分に引き立てたものとなっています。そして「まかない」はその料理にさらに手を加え、より美味しいものにしています。

 実は、飲食店が人材を確保する大きなポイントの1つに「まかない」があります。スタッフにとっては、食費が浮くというメリットがありますが、それよりも大きなメリットとして、「まかない」というスタッフしか食べられない料理を、インスタグラムなどにアップすることでスタッフは「リア充」をアピールできることが挙げられます。

 さらに、同店のスタッフの勤務時間には、「まかない」を食べる時間も含まれます。よって、調理補助なりホールなりで活動する仕事を終え、ご主人が作る「まかない」を堪能した後に、タイムカードを打刻して退勤することとなります。

 「まかない」を食する時間を無給ではなく【有給】にしていることにより、従業員満足が向上していきます。これにより、同店で働くスタッフの兄弟だけでなく、親も働きたいと申し出たケースもありました。

飲食店が人手不足を解消するために行うべき取組み3:各スタッフの特徴を最大限に活かす

 採用後、実際に働かせてみると、作業が早いスタッフやそうでないスタッフ、手先が器用なスタッフやそうでないスタッフなど、スタッフによってさまざまな特徴が表れます。そして、全スタッフに同じ量の同じ仕事をあてがっていると、各自が持つ特徴によって、こなす業務量に差が出てきます。これがスタッフ間の不公平感に繋がり、従業員満足を低下させてしまいます。

 そこで、ご主人は各スタッフの特徴に応じた作業を割り振ることに神経を使っています。特徴を見極め、それに応じて掃除を割り当てたり、食材の皮むきを割り当てたりします。この【特徴の見極め力】と、【割り当てる作業の引き出しの多さ】により、スタッフは不公平感を抱かずに、長年勤務を継続することができています。

 今回のコラムでは、飲食店が人手不足を解消するために行うべき取組みとして、1.顧客をスカウトする、2.充実した「まかない」を提供する、3.各スタッフの特徴を最大限に活かす、を挙げました。飲食店は新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続きますが、雌伏の時である今こそ、次の一手を打つべく、今回ご紹介したような人事戦略を検討し直してみてはいかがでしょうか。

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