小規模事業者持続化補助金で新規顧客を開拓した美容室の事例⑤

小規模事業者持続化補助金

 内容をグルーピングし、ターゲットを統一し、書くべきところに書くことで小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。

1.小規模事業者持続化補助金「美容室」採択のポイント

 小規模事業者持続化補助金を活用して、店舗のバリアフリー化と洋服や小物類販売に関する費用を調達するために、ある美容室の経営者が作成した計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。

 今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<補助事業計画>内の「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見ていきます。

(1)内容をグルーピングする

 同店が補助金を使って行いたいことは、バリアフリー化工事と洋服小物類販売体制の構築です。事前に書かれてきた内容はこれらが混在する形でしたので、それぞれを切り分けて整理をした結果、概ね以下の内容となりました。

 【バリアフリー化工事】

 ①近隣の老人介護施設・養護学校・自立支援施設の方、ベビーカー持参の方達が気軽に来店していただけるように、道路から店舗出入口にコンクリートで道路を造り、バリアフリー化を行う。

 ②道路から店舗出入口の状況が分かる現状の写真。

 ③バリアフリー化は、コンクリートを流すだけではなくレンガ、タイルなどを使い意匠に富んだデザインとする。

 ④創意工夫の特徴は、バリアフリーというとデザイン性が薄く、簡素な作りが多いが当店の雰囲気にも調和し、顧客が来店したくなるようにデザイン性を重視した点。

 【洋服小物類販売体制の構築】

 ①バリアフリーを必要とする方々にトータルでファッションを楽しんでいただけるように美容室店内で洋服小物類の販売をする。

 ②洋服小物類の販売スペースの写真。

 ③体が不自由な顧客は、おしゃれをする機会に恵まれず、そのような顧客からの要望もあり、木工作家に商品展示用のハンガーラックを制作してもらうとともに、試着室を設置し、小売店の協力を得て洋服や小物等を販売していく。

 ④販売価格の30%が当店の利益となり、小売店に毎月商品の入れ替えをしてもらうことで顧客の満足度も上がり、再来店に繋がっていく。

 ⑤当自治体の障害者(身体・知的・精神)はいずれも増加していることが分かる障害者手帳所持者数が時系列で分かるグラフ。

 このようにグルーピングするだけでも大分読みやすくなりましたが、これらの内容をさらにブラッシュアップしていきます。

(2)ターゲットを統一する

 【バリアフリー化工事】の①では、ターゲットを「近隣の老人介護施設・養護学校・自立支援施設の方、ベビーカー持参の方達」としています。これに対して【洋服小物類販売体制の構築】の①では、ターゲットを「バリアフリーを必要とする方々」としており、さらに⑤では、ターゲットの動向として「身体・知的・精神障害者」の動向を示しており、ターゲットを絞り切ることが出来ていない印象を受けました。

 この場合、「車椅子が必要な方」「小さい子供をベビーカーに乗せて移動する方」がターゲットとなるはずであり、そこには「近隣の老人介護施設・養護学校・自立支援施設の方」や「知的・精神障害者」は含まれないはずです。このようにターゲットがブレていましたので統一していただきました。

 なお、「誰に」「何を」「どのように」提供するのかという事業の骨格を「事業領域」や「ドメイン」と呼び、重要なものですので、事業展開を検討する際は意識したい内容です。詳しくは以下のコラムを参考にしてください。

「誰に」「何を」「どのように」を決める

婦人服メインの儲かる雑貨店が実施している新規事業の活用戦略

あっそうだ!雑貨店が売上アップのために考えるべき3つのこと

(3)書くべき場所を意識する

 【洋服小物類販売体制の構築】の④は、当補助事業を実施して得ることの出来る効果になります。これは、次回見ていく「4.補助事業の効果」に記載するべきことです。

 また、同じく【洋服小物類販売体制の構築】の⑤は、障害者の数がどのように推移しているかという市場の動向になりますので、これは、<経営計画>の「2.顧客ニーズと市場の動向」欄に記載するべきこととなります。

 さらに、前述の通り、当事業のターゲットは「車椅子が必要な方」「小さい子供をベビーカーに乗せて移動する方」ですので、市場の動向として把握したいのは、「下半身の身体障害を抱えている方」「後期高齢者」「幼児を持つ親」における数の推移となるでしょう。

 このようにして、様式2-1<補助事業計画>内の「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」をブラッシュアップしました。次回のコラムでは「4.補助事業の効果」を見ていきます。

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