小規模事業者持続化補助金に採択!持帰り居酒屋の事例(その4)

小規模事業者持続化補助金

 テイクアウトを強化したい居酒屋を運営する事業者が、その告知を強化するべく、看板の書き換えをしようと考えました。この事業者は、販路開拓に要する費用の3分の2、原則として上限50万円を補助する小規模事業者持続化補助金を活用して、その費用を調達しました。

 補助金を活用するには、完成度の高い計画書を作成し、採択される必要がありますが、計画書をそのレベルにブラッシュアップしていった同店のプロセスを紹介するシリーズ、第4回は最終回となります。以下で、下図の赤囲み部分、様式2<補助事業計画>を見ていきます。

事前に記入されていた内容

 まず「1.補助事業で行う事業名」は、30文字以内という縛りがありますが、それさえ意識すれば難しい話ではありません。次に「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見ていくと以下の内容が書かれていました。

 ・自店の隣に立地するコンビニエンスストアへの来店客にテイクアウトできることを看板で告知したい。
 ・テイクアウトできるメニューとして訴求したいのはランチ4種類、単品料理4種類。
 ・この単品料理4種類は、おかず・つまみになり、当店の人気メニューでリピート率が高い。
 ・週末は店頭で試食販売を実施する。

 これだけでは、販路開拓の取組内容としては説明不足の印象が否めません。そこで、次に掲げる「審査の観点」を意識してブラッシュアップしていきます。

具体的に書く

 全国商工会連合会日本商工会議所が公表している「公募要領」のP53~54に下図「審査の観点」が掲載されていますが、赤囲み部分は、今見ている「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の審査に該当する部分です。

 これらを踏まえ、「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」から構成される【5W1H】で記載することをお勧めしており、前述の内容に関してこれを活用すると下図になります。

 これに、設置予定場所の写真や、制作する看板のイメージが分かる図などがあると良いでしょう。さらに、前述の「公募要領」③補助事業計画の有効性、上から3つ目の◇に「創意工夫の特徴」があり、自店なりにその看板にどのような創意工夫をしたのかを記載すると良いでしょう。

3つの効果

 この次の「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であり、同店の取組みで該当するものはありませんので空欄とし、これに続く「4.補助事業の効果」を見ていきます。

 事前に同店が記載した内容は、自店の売上が1日当たり約4,200円増加すること、そしてその内訳が記載されていました。これは【自店の効果】になりますが、その他に【顧客の効果】【地域社会の効果】も示すことで、事業の継続性、公的資金を使う事業者としての公益性が分かります。

 【顧客の効果】に関しては、前提として「自店の強みを知ることができる」という効果があります。そこで、<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」で訴求するべき強みをしっかり洗い出す必要があります。

 【地域社会の効果】に関しては、弁当を作って会社に持参しなくて済むことが女性の社会進出を促進させることや、ヘルシーなエスニック料理を食べる方が増加することにより、医療費の削減が進む可能性が高まることなどを挙げることができるでしょう。

 小規模事業者持続化補助金の計画書を作成する際の留意点として、4回にわたって居酒屋を取り上げ、各項目をどうブラッシュアップするべきかを見てきました。ただし、「木を見て森を見ず」にならないように<経営計画>と<補助事業計画>の関連を意識することも必要です。

 例えば<経営計画>で示した「自社の強み」が<補助事業計画>で活用できているか、<経営計画>で示した「自社の方針」に<補助事業計画>が沿っているか、といった点です

 「木も見て森も見る」ことが小規模事業者持続化補助金の採択をつかみ取れる計画書策定のポイントとなりますが、当コラムがその参考になれば幸甚です。

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