人材育成の目的

経営の姿勢

他社から引き抜きに遭う人材を育てる

 先日のコラムでご紹介した、リクルート出身で現在Jリーグチェアマンを務めている村井満氏は、リクルート人事部時代に、社外から引き抜きに遭うような人材を育てることに注力し、そのような社員を会社として支援するべく、退職時に1,000万円を付与する制度を設けました。

 せっかく育てた人材が社外から引き抜きに遭い、転職することは、現在所属する会社の戦力ダウンに繋がります。にもかかわらず、そのような人材をどんどん育て、引き抜きに遭った社員の家族が安心して転職に協力し、そして本人の意思決定を後押しするための制度です。

 村井氏はその制度の目的を、他社からスカウトされるような市場価値の高い優秀な人材が揃っている会社が強い会社であるから、と述べています。

人材育成の意識が低い経営者

 複数のロードサイド店を運営する会社で店長職を勤めていたある店長は、出社前と帰宅後、そして休日を利用して販売士の勉強をしていました。そのことを知った経営者が、ある日その店長を呼び出し「勉強する暇があったら、店に出て販売しろ」と言いました。この時にその店長は、辞意を固めたと言います。その後、資格を取得し、ほどなくして会社を辞めました。

 また、別のロードサイド店を運営する会社の経営者は、店長会議で居並ぶ店長に対して「いいか、休みの日は本を読むんだぞ」と発破を掛けました。1年に1回も店長研修をしないにもかかわらず、読むべき本を示すこともせず、自己啓発だけはさせようとするのです。

 両者とも、そのような発言をせざるを得なかった理由はあると思います。しかし、その発言を受け取った店長は少なくとも「自分の能力はこの会社にいては高まらない」と認識するはずです。事実、両社とも人材の定着率は非常に低いものでした。

定着率と人材育成

 人材育成をする目的のひとつとしてあげられるのは、人材を優秀にすることでしょう。優秀になればなるほど育ててくれた会社に恩義を感じ、長期間勤務する人もいるでしょうし、転職や独立でもう一花咲かせたいと思って、辞める人もいるでしょう。

 人材育成に消極的な会社は、後者を恐れます。しかし、「あそこの会社に就職すれば優秀になることができる」と求職者が認識してくれれば、優秀な人材が転職や独立で流出し、定着率が低下しても、次々に優秀な人材の卵が入社してくるものです。

 人材の定着率が高くても、業績が低いのは、嘆かわしいことです。最終的に人材を切り捨てて会社の存続を図らなければならず、自社が自社の定着率を低下させることとなるからです。そのように考えていくと、定着率にこだわるよりも、人材育成の目的にこだわることこそが儲かるロードサイド店のポイントといえるでしょう。

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