人手不足の店舗が人材募集の条件を緩くしてはいけない3つの理由

人材確保

 私はかつて、居酒屋に入店したものの何も飲まないで、お通し代だけ会計して退店したことがあります。その理由は、顧客の数に対してスタッフの数が足りておらず、待っても呼んでも最初の一杯のオーダーを取りに来ていただくことができない状況だったからです。

 これと同じ状況の居酒屋を経営する方が抱える、以下の悩みに触れる機会がありました。こちらは、50人ほど収容できる規模の居酒屋で毎日満席が続いていますが、人手が足りていません。

 求人サイトで募集しても、社員の応募はなく、アルバイトの応募がたまに入る程度。とりあえず雇っても数回出社して来なくなるなど、戦力になる前に辞めてしまうケースが多い状況です。時給は周囲の店舗と同じレベルで設定しており、髪型や髪色は自由、髭やネイルもOKであることを求人サイトで訴求しています。

 今回のコラムでは、そのような人手不足の店舗が、髪型や髪色は自由、髭やネイルもOKとするなど、人材募集の条件を緩くしてはいけない理由について見ていきます。

人材募集の条件を緩くしてはいけない理由1:面接の負荷が高まるため

 繰り返しになりますが、この店舗は、髪型や髪色は自由、髭やネイルもOKとしています。このことは、他店に応募して髪型、髪色、髭、ネイルで断られた方々が応募してくる可能性を高めます。

 髪色は、黒髪でなくても昔ほど不快感を示す顧客は少なくなったと思います。ですが、ド派手な金髪で働くスタッフには、眉をひそめる向きもあるのではないでしょうか。また、ネイルをする長い爪は衛生上問題ですし、派手なネイルは、顧客に料理を出す際に、その彩りを邪魔します。

 そのような点に意識の向かない方々も含めて応募してくるということですから、応募する人材は玉石混交となります。結果として、採用に結び付かない面接の数も増えるでしょう。それは、面接官である経営者の負荷を高め、経営者でなければできない多くの仕事が停滞しがちになってしまいます。

 髪型、髪色、髭、ネイルに関して募集の告知内容に書くのなら「応相談」とするべきであり、それよりも告知内容に示すべきことは、自店のビジョンです。例えば、「お客様にもっと楽しんでもらいたいという、当店のビジョンに共感してくれる人を探しています」とすることにより、そのビジョンに共感した長く働いてくれる人材が応募する可能性が高まります。

 なお、面接時の有効な質問については、以下のコラムを参考にして下さい。
 【参考コラム】面接官が応募者に投げかけるべき5つの質問

人材募集の条件を緩くしてはいけない理由2:投資が回収できなくなるため

 この経営者は、人材を「とりあえず」雇っても続かない、としていますが「とりあえず」というスタンスで雇われた人材は、やはり長続きはしないでしょう。「とりあえず」雇ったという経営者の意識を雇われた側は敏感に察知するからです。

 もともと意識が高くないスタッフであれば、ちょっと働いてみてきつかったら辞めよう、くらいにしか考えていませんし、自分を雇った経営者も軽いノリで雇っているみたいだし、ということであれば、簡単に辞めます。次の日にバイト先に行かなければ良いだけの話です。

 そのような人材でも、出社初日から指導をして、仕事ができるようにしなければ給与を支払う意味がありません。入社して戦力になるまでに支払う給与は戦力になってから回収するべき投資ですが、それを回収できなくなる可能性が高まります。

人材募集の条件を緩くしてはいけない理由3:顧客も従業員も不満足感が高まるため

 新人が入社すると、既存のスタッフは、指導をするという仕事が増えるので、ただでさえ忙しいのに、さらに忙しくなります。それでも戦力になるまで育ってくれれば、指導のし甲斐もありますが、入社するスタッフが戦力になる前に、ことごとく辞めていくと気持ちが折れてしまう可能性が高まります。

 人間は、自身が起こした行動について、良い結果が出るとその行動を強化しますが、結果が出ないとその行動は取りたくなくなるものです。

 また、顧客からしてみると、いつ来店しても、新人と思しきスタッフにおぼつかない接客をされて、質問をしてもろくに答えられないとフラストレーションが溜まるものです。同店は、現在は満席状態が続いているというものの、いつ競合が進出してくるか分かりません。顧客が減ってから慌てふためいても遅いのです。
 
 今回のコラムでは、人手不足の店舗が人材募集の条件を緩くしてはいけない3つの理由として、1.面接の負荷が高まるため、2.投資が回収できなくなるため、3.顧客も従業員も不満足感が高まるため、を挙げました。

 猫の手も借りたい気持ちは、私も経験してきましたので、痛いほど分かります。ですが、安易に条件を緩くすることは、自身の手で自身の首を絞めることに留意したいところです。募集内容は、的を射たものにして、人手不足から早期の脱却を目指しましょう。

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