小規模事業者持続化補助金でコロナに立ち向かうカフェの事例③

小規模事業者持続化補助金

 そのカフェは、首都圏から車で約1時間の自然豊かな場所にひっそりと佇んでおり、多くの固定客に愛されていました。ところが、新型コロナウイルスの影響により、外出する方が減少してしまい、来店客が激減してしまいました。

 同店は、今後来店客を増加させるために「3密」のリスクを低減させるべく、店内の換気を良くしたり、顧客と顧客の距離を空けたりするなどの対策をとりましたが、その一環としてオープンテラスの利用を促進させることにしました。

 そのためには、傷んだこのテラスを修復させる必要があり、その費用を小規模事業者持続化補助金で賄うことを考え、結果として当該補助金に採択されました。

 その際、どのように計画書を作成したかを複数回にわたってご紹介します。第3回目の今回は、様式2-1<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方について見て行きます。

1.小規模事業者持続化補助金<一般型>応募の全体像

 まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締め切り日までに送付する必要があります。

 様式1-1 小規模事業者持続化補助金事業<一般型>に係る申請書

 様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①

 様式3-1 補助事業計画書②

 様式4 事業支援計画書

 様式5 補助金交付申請書

 このうち、様式2-1と様式3-1が採択に大きな影響を及ぼします。

2.様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像

 今回は、様式2-1を見て行きますが、その構成は以下となっています。

 <応募者の概要>

 <経営計画>

 <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容

3.<経営計画>の内容の全体像

 今回は、様式2-1の<経営計画>を見て行きますが、その構成は以下となっています。

 1.企業概要

 2.顧客ニーズと市場の動向

 3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み

 4.経営方針・目標と今後のプラン

4.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方

(1)2つに切り分ける

 当欄のタイトルは「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」であり、内部環境を説明する欄になっています。ですが、テーマが2つに分かれており、まとめて書こうとすると冗長になりがちで、読み手に伝わりにくくなってしまいます。

 そこで、「自社の強み」と「自社の提供する商品・サービスの強み」と見出しを設け、切り分けて記載することをお勧めしています。

(2)「強み」を定義づけする

 話があらぬ方向に行ってしまわないように、重要な言葉は定義づけすることをお勧めしています。弊社が定義する「強み」とは「顧客に価値を提供できる、差別的優位性のある経営資源」ですので、その定義に沿った内容を記載すると記載がブレなくなるでしょう。

(3)「自社の強み」をさらに切り分ける

 前述のとおり、強みを弊社では経営資源と定義していますが、経営資源は「人」「物」「金」「情報」から構成されます。そこで、自社の強みはこの4つの切り口から述べることをお勧めしています。

 その結果、同店の「自社の強み」は概ね以下の内容となりました。

 ①人的資源の強み

 ・当店スタッフのコーヒー焙煎技術は外部の評価が高く、焙煎技術を競うコンテスト「○○」ではファイナリストになっている。なおこの大会の優勝者は世界大会の日本代表となり、エントリー規模は国内の焙煎士100名以上の大規模なものである。

 ・専門性が高く、自治体の主催のコーヒーセミナー講師として登壇したり、各種イベントに使用するコーヒーやイベント参加者への技術提供をしている。

 ②物的資源の強み

 ・都心から車で1時間程度の場所で、都会にはない自然豊かな環境で飲食ができる。

 ・オープンテラスを備えており、自然を満喫しながら開放感の中で飲食ができる。

 ③財務的資源の強み

 ・店舗・駐車場は自己所有のため地代などの固定費負担がない。

 ・創業以来無借金経営を継続している。

 ④情報的資源の強み

 ・店舗において、定期的にコーヒーセミナー・焙煎体験を行いコーヒー文化の向上を図っている。

(4)「物的資源の強み」に商品の強みを書かない

 前述の「物的資源の強み」に「提供している商品の強み」を記載してしまうと、そもそも「自社の強み」と「提供する商品・サービスの強み」に切り分けた意味が無くなってしまうことに留意する必要があります。

 同店が「自社が提供している商品の強み」として記載した内容は概ね以下となります。

 ・市販されている工業用コーヒーと異なり、味が良く、また、生産者・品種・生育過程のトレーサビリティが確保されているスペシャリティグレードの生豆を使用しており、品質の高いコーヒーを提供している。

 ・フードに関しては極力地産地消を心がけ、近隣の養鶏場の卵、地場で旬の野菜などを使用し、新鮮さや地域経済へ配慮している。

 ・手作りのスイーツ・フードにより安心感を提供している。

 このようにして「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記載しました。次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見て行きます。

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