持続化補助金に採択された不動産会社の計画書作成事例⑥

小規模事業者持続化補助金

 同社は、家族経営の不動産会社であり、賃貸・売買物件の紹介を主たる事業としていました。かつては、店頭や担当者からの情報を元に物件を探す顧客がほとんどでしたが、昨今は、予めスマートフォンで物件情報を検索し、その物件を見るために来店する顧客が多くなってきており、同社はインターネットでの情報発信を強化する必要性を感じていました。

 そこで、同社は物件をユーチューブの動画、パノラマ画像、VR(Virtual Reality:仮想現実)で紹介できるホームページを立上げようと考えました。特にVRでの紹介はホームページの閲覧者が、あたかもその物件の内部にいるような状況で見たいところを見ることができるような仕組みであり、今回立ち上げるホームページの大きな特徴となっています。

 このホームページを立ち上げるにあたって、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。そこで、同社における当補助金の計画書策定に関するご支援を弊社が行い、無事採択されたわけですが、採択される計画書を同社がどのように作成したのかをご紹介します。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容「4.補助事業の効果」を見ていきます。

 なお、当コラムでは<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容「1.補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であることから解説を割愛しています。

1.「補助事業の効果」記入の仕方

(1) 「自社の効果」を記載する

 補助金の財源は税金ですから、補助金を交付され、使うことによって収益を向上させ、納税額が増加する前提がないと、補助金を交付する意味が薄れてしまいます。

 よって、売上や利益が向上するという数字で表すことができる定量的な効果を記載することは必須と言えるでしょう。さらには、数字で表すことのできない定性的な効果も検討するとより良いでしょう。

 なお、同社が記載した「自社の効果」は概ね以下の内容となりました。

 ホームページで物件情報を提供することにより、自社には以下の効果が見込まれる。

  • 売上・利益が向上する。
  • 24時間の営業活動が可能となる。
  • 顧客との関係性が深化する。

(2) 「顧客の効果」を記載する

 補助金を使って売上や利益を向上させるには、補助金を使って顧客に何らかの価値を提供しなければなりません。その提供される価値が大きくなったり、新たになったりすることが顧客の効果ということになります。

 なお、同社が記載した「顧客の効果」は概ね以下の内容となりました。

 ホームページで物件情報を提供することにより、顧客には以下の効果が見込まれる。

  • 事前の詳細な情報収集ができ、迅速な購買意思決定が可能となる。
  • いつでもどこでもより良い物件探しが可能となる。
  • 豊富な中古物件に触れることができ、新築よりも安価に自身の住居を手に入れることが可能となる。

(3) 「社会的な効果」を記載する

 補助金の財源は税金であるということは、前述の通りですが、その補助金を使うということは自社を利用しない方の税金も使う可能性を含んでいます。よって、そのような方に対しても効果を発揮させる必要があります。

 なお、同社が記載した「社会的な効果」は概ね以下の内容となりました。

 ホームページで物件情報を提供することにより、地域社会には以下の効果が見込まれる。

  • 空き家が減ることにより、未使用の資産が利用されることとなり、地域が潤う。
  • 当社の商圏を構成する○○市、●●市の空家等対策計画の目標達成に近づくことが出来る。

 このようにして、「補助事業の効果」を記載し、計画を完成させました。街の小規模な不動産会社が販売力を強化するには、インターネットでの情報発信が不可欠です。そのためには、充実した内容のホームページの保有は必須であり、同社のように動画やパノラマ画像、VRを用いたホームページを立ち上げるという判断は賢明と言えます。

 ただし、ホームページを見に来ていただく取組も必要ですので、ブログやSNSも組み合わせた展開も望まれるところです。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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