持続化補助金に採択された不動産会社の計画書作成事例③

小規模事業者持続化補助金

 同社は、家族経営の不動産会社であり、賃貸・売買物件の紹介を主たる事業としていました。かつては、店頭や担当者からの情報を元に物件を探す顧客がほとんどでしたが、昨今は、予めスマートフォンで物件情報を検索し、その物件を見るために来店する顧客が多くなってきており、同社はインターネットでの情報発信を強化する必要性を感じていました。

 そこで、同社は物件をユーチューブの動画、パノラマ画像、VR(Virtual Reality:仮想現実)で紹介できるホームページの立上げをしようと考えました。特にVRでの紹介はホームページの閲覧者が、あたかもその物件の内部にいるような状況で見たいところを見ることができるような仕組みであり、今回立ち上げるホームページの大きな特徴となっています。

 同社はこのホームページを立ち上げるにあたって、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。そこで、同社における当補助金の計画書策定に関するご支援を弊社が行い、無事採択されたわけですが、採択される計画書を同社がどのように作成したのかをご紹介します。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」記入の仕方

(1) 2つの見出しを設ける

 物事を文面で述べる際に、見出しを設けて内容を切り分けることは、話の逸脱を防ぎ、端的にまとめることが可能となるため、読み手の理解が深まることが期待できます。

 当欄のタイトルは「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」です。そこで、これを素直に受け取り、【自社の強み】と【自社が提供する商品・サービスの強み】という見出しを設け、見出しに応じた内容を記述していただきました。ただし、見出しを設けただけではなく、次の取組を行うことでさらに内容の精度向上が期待できます。

(2) 【自社の強み】は4つの観点から検証する

 「経営資源」は「人」「物」「金」「情報」の4つから成り立っているとされています。具体的には、経営者やスタッフのスキルなど「人的資源」に関する強み、店舗立地や設備など「物的資源」に関する強み、内部留保や資金負担の軽さといった「財務的資源」の強み、社内のノウハウや受発信している情報の質や量といった「情報的資源」を洗い出していただきました。

 もっとも、これら4つの経営資源に関する強みのうち、無いものを無理に記載する必要はありません。また、4つの切り分けよりも、4つの視点から多くの強みを抽出することが重要であることを意識する必要があります。

 また【自社の提供する商品・サービスの強み】のうち「商品の強み」は上記の「物的資源」に該当します。よって、【自社の強み】としてそれを記載してしまうと【自社の提供する商品・サービスの強み】が書きにくくなってしまいます。

 そこで【自社の強み】として記載する「人的資源」「物的資源」「財務的資源」「情報的資源」それぞれの強みのうち、「物的資源」について「商品の強み」は除いて検討していただきました。

(3) 「強み」を定義する

 弊社では「強み」を「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義しています。これに基づき「強み」を洗い出していただきましたが、特に、前回のコラムで述べた「競合動向」を意識して「競合より優れている経営資源」を洗い出していただきました。

 これらを踏まえて同社が記載した「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」は概ね以下の内容となりました。

 【自社の強み】

  • 後継者が存在しており、中長期的な視点での事業展開が可能である。
  • 金融機関からの借入枠は比較的広く、資金を円滑に調達することが可能である。
  • 店舗は自社所有であり、家賃が発生せず、経費負担が軽い。
  • 不動産業としてのチラシ作成ソフトの他、チラシ作成に関するノウハウを保有している。
  • 賃貸管理と買取販売のバランスをとるノウハウが蓄積されており、事業のリスク管理ができている。

 【自社の提供する商品・サービスの強み】

  • 定休日でも事業活動が可能であり、迅速に顧客ニーズへの対応が可能である。
  • 長年、同業界に身を置いた経験から、物件の目利き能力に秀でており、価格に対して価値の高い物件を紹介することが可能である。

 このようにして「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記載しましたが、次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」について見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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