その経営者は、ご自身のお子様が1歳の誕生日を迎えた際に、スタジオで撮っていただいたその写真に感動し、自身も多くの方へその感動を与えたいという動機から、写真スタジオの運営を開始しました。
写真スタジオ事業は、プレイヤーとして大手企業も参加しており、競争の激しい業界ですが、その経営者は温めていた新サービスを展開するべく、それにかかる費用を小規模事業者持続化補助金で調達することにしました。
そこで経営者ご自身で、当該補助金に申請する計画書を作成しましたが、採択の可能性を高めるべく、当社にブラッシュアップのご相談に来られ、結果として採択されました。同店がどのようにして採択レベルにブラッシュアップしたのかをお伝えしていきます。
以下は、小規模事業者持続化補助金へ応募する際の一般的な提出書類ですが、今回は下図赤枠部分、様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」について見ていきます。

1.「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方
(1)あれもこれも盛り込まない
同店が事前に書かれてきた内容は【顧客ニーズ】と【市場の動向】に切り分けられており、【顧客ニーズ】の欄に写真スタジオ第1世代~第3世代までの特徴が書かれていました。
前回のコラムで述べたとおり、写真スタジオの第1世代とは昔ながらの写真館、第2世代は商業施設などに立地し、女性スタッフがファンシーな写真を撮るタイプ、そして第3世代は一軒家のスタジオで雑誌モデルのような洒落た写真が撮れるタイプとなっています。
おそらくこれらの特徴を踏まえた顧客ニーズを記載しようとしたと思うのですが、肝心の顧客ニーズがほとんど書かれておりません。そこで、同店が該当する第3世代のみの特徴を端的に述べていただき、それに対する顧客ニーズを記載していただきました。
(2)根拠を盛り込む
同店は【市場の動向】として、家計調査年報を参考に、子ども1人に対する支出割合は増加傾向にあるという内容だけを記載しておりました。
「なぜそのように言えるのか」という根拠(エビデンス)を盛り込むことは、自店に都合の良い解釈ではなく、事実を述べていることをアピールするとともに、事実に基づく今後の戦略を構築する観点からも重要ですので、家計調査年報の数値を盛り込むこんでいただきました。
(3)競合は誰なのか見極める
【市場の動向】として、上述の子ども1人に対する支出割合の他に、競合動向も書かれていました。その競合とは第1~第3世代を含む幅広いものでしたので記述が総花的になっており、具体性に欠けておりました。
自店の競合はどこなのか見定める際には「いなくなってくれると楽だな」と思う先を想定していただきます。また、同じ土俵で戦うわけですから、事業規模やその展開手法が似ている先も候補となります。
これらを意識していただいて、競合を洗い出し、社名・住所・URL・特徴を記載した一覧表を盛り込んだ上で、競合の動向を記載していただきました。
このようにして、「2.顧客ニーズと市場の動向」をブラッシュアップしていただきました。次回のコラムではこれに続く「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
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