商品を無料で提供するロードサイド店舗
かつて私が登壇した経営者向けセミナーで、複数の焼き鳥店を展開する企業の経営者が受講していたことがあります。
この方とセミナー中の個人ワークの時間に、お話をさせていただきました。この焼き鳥店のウリを伺うと「歳の数だけ焼き鳥プレゼント」というサービスだと即答されました。
その月に誕生日を迎えるお客様が来店されると、誕生日を迎えた際の歳の数だけ、焼き鳥を無料で提供する、というものです。
50歳を迎えるなら50本、70歳を迎えるなら70本、無料で焼き鳥をプレゼントをするのです。そのような誕生日を迎える顧客が月間で200人も来店されるとのことで、顧客からは「それで利益が出るのか」と心配されるそうです。
しかし、この焼き鳥店を運営する企業は、収益の一部を障害者施設へ寄付するなど、しっかりと利益を出すことができています。
そもそも、数十本の焼き鳥を店内で食べきることのできる顧客はほとんどおらず、みなさん、食べきれなかった分をご自宅へ持って帰るのですが、家族全員でも食べきれない場合が多いため、近隣におすそ分けをすることになります。
おすそ分けをする方は、なぜ、おすそ分けをするのかを話すため、自然とこの焼き鳥店のサービスは口コミで広がっていきます。
結果として、「一度行ってみよう」という誕生月を迎えない顧客も自然と増え、収益が確保できる、というビジネスモデルなのです。
経営者の信念を確立させた出来事とは
なぜ、そのようなサービスを始めたのか、と伺ったところ、その経営者は以下のような話をされました。
「かつて、私には障害を負った娘がいました。うちの娘は誕生日を迎えることなくこの世を去りました。私はその時に、人が誕生日を迎えることは何て重要なことなのだろう、と思いました。
私は、娘の誕生日を祝うことはできませんでした。でも、当社の焼き鳥店を訪れる多くのお客様がいる。このお客様の誕生日を精一杯お祝いしたい。だから、歳の数だけ焼き鳥を差し上げるんです。」
胸を打つ経営者の発言に、セミナーの受講生から静かな、静かな拍手が沸き起こりました。信念に貫かれた経営の強さを思い知らされた瞬間でした。
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