不正行為で儲けようとするガソリンスタンドが儲からない理由とは

経営の姿勢

あるタクシードライバーの発言

 ガソリンスタンドの主力商品は、ガソリン・軽油などの燃料油の他にストーブなどに使う灯油があります。軽油と灯油は似通った成分ですが、法律で使用方法が決まっています。軽油は主にエンジンの動力用、灯油は主に暖房用に使用されます。軽油には軽油税が含まれていることもあり、軽油の方が灯油より高い価格設定が一般的です。

 また、ガソリンスタンドの地下にはハイオクガソリン用、レギュラーガソリン用、軽油用、灯油用に分かれた数万リットルが貯蔵できる地下タンクがあります。タンクローリーは、運んできた油をこの地下タンクに給油することになります。

 数万リットルの軽油に1リットルの灯油が混ざっていても成分が似通っていますから消費者は分かりませんし、車両のエンジンにも大きな影響は及ぼしにくいです。そこで、不正な手段として、灯油を混ぜた軽油を販売することにより、安価な灯油が軽油の価格で売れることになります。

 ある企業は、ガソリンスタンドの運営とタクシー運行の2つの事業を行っていました。そのタクシーに乗った時の話です。
 会話の中で、私がガソリンスタンドの内部事情に詳しいことを知ったタクシーの運転手が、私に質問をしました。
 「うちの社長なんですが、夜遅くなると灯油の軽量機でドラム缶に給油をしてから、そのドラム缶を転がして、地下タンクに移しているんですよ。何をやっていると思います?」

 私はピンときました。軽油の地下タンクに灯油を入れ混ぜ、軽油として販売しているのです。

見えていなければ何でもできる?

 その他にも、ガソリンスタンドを舞台に様々な不正を見聞きしてきました。

 オイル交換時に全量ではなく、少なくオイルを抜いて、新品のオイルを少なく入れ、規定量の料金をいただく、オイルフィルターの交換を承って交換せず料金をもらう、ウォッシャー液の空ボトルに食器用洗剤を入れて販売する、バッテリー液の空ボトルに水道水を入れて販売する、洗車時の車内清掃時に車内から小銭を盗る・・・挙げていればキリがありません。

 ひと昔前は、分からないからいいだろう、で済んだかもしれません。ですが、昨今はインターネットで告発が簡単にできます。それも経営陣への告発ではありません。世間への告発です。

不正を防止するには

 売上は客数と客単価で決まります。また、客数は新規顧客と既存顧客、客単価は商品単価と買上点数で決まります。売上の高い店舗は、多くの客数、もしくは高い客単価、そうでなければその両方を実現しています。つまり社会へ与える影響が大きいと言えます。

 経営の神様と呼ばれた松下幸之助翁は、「会社は社会の公器」と言いました。人・物・金といった経営資源は、社会からの預かりものであり、経営者のものではないため、経営者の意思決定は公的なものでなくてはならない、というものです。

 自身の会社を「公器」と捉え、日々事業に当たる経営者のもとで働く従業員には公的な意識が宿る可能性が高いと言えます。反面、自身の会社を私物化している経営者のもとでは、自分さえ良ければ良い、という意識が宿りがちです。それが徐々に組織風土になっていきます。

 コンプライアンスに厳しい視線が注がれる昨今、商道徳はいうに及ばず、詐欺まがいの行為をするガソリンスタンドは業界から駆逐されていくでしょう。不正行為で儲けようとするガソリンスタンドが儲からない理由とはインターネットによる告発、コンプライアンスに対する厳しい視線があるためです。

 それを防止するには、経営者の意思決定が「公器」という認識に基づくものであるかどうか、がポイントとなるでしょう。

不正に関する参考コラム

 ■小売店舗におけるクレジットカードを使用した不正の手口
 ■生き残るガソリンスタンドのコンプライアンスに対する取組みとは
 ■タイヤ販売が激増したガソリンスタンドの経営者が行うべきこと

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