経営革新計画の書き方3:内部環境分析

経営革新計画

 前回のコラム「経営革新計画の書き方2:自社の存在理由」で、経営理念があることは強さを感じさせること、良い経営理念の3条件、経営理念策定の留意点2つを述べました。そして、この経営革新計画の内容は、以下となります。

 1.会社概要
 2.当社の内部環境
 3.当社の外部環境
 4.当社のビジョン
 5.ビジョン達成の課題
 6.新たな取組みの内容
 7.販売計画
 8.設備投資計画
 9.雇用計画
 10.事業推進体制
 11.教育研修計画
 12.売上・利益計画
 13.返済計画
 14.行動計画

 このうち、今回のコラムでは、【2.当社の内部環境】について見ていきます。

経営資源

 内部環境は、強み・弱みを指しますが、これらを見出す際の視点として有効なのが「人」「物」「金」「情報」といった【経営資源】です。例えば、かつて弊社がご支援した理容店の強み・弱みの一部を経営資源の切り口別にピックアップすると以下となります。

 【強み】
 <人に関する強み>代表はコミュニケーション力が高く、顧客との関係性が深く、リピート率が90%と高い。 
 <物に関する強み>頭皮診断ができるマイクロスコープを常備し、カウンセリングの有効性を高めている。
 <金に関する強み>小規模事業者持続化補助金に採択され、店舗の一部改装に要する資金が確保できている。
 <情報に関する強み>月3回の理容器具メーカーや商材商社による臨店講習を受講しているため、理美容に関する最新の情報量が多い。

 【弱み】
 <人に関する弱み>代表と後継者のコミュニケーションが円滑ではない。
 <物に関する弱み>店内が狭い。
 <金に関する弱み>資金は潤沢ではなく、広告宣伝費に使える資金が多くない。
 <情報に関する弱み>インターネットを活用した情報発信力が高くない。

 このようにして、それぞれを洗い出したら、活用できる強みをベースに経営革新計画で実施するテーマを設定します。ここでのポイントは、弱みも洗い出すことにより、【認識していなかった強み】を見出すことです。以下でその事例をご紹介します。

弱みから強みを見出す

 弱みとして認識している事象によって【何が起こっているのか】を検討すると本当の弱みが見つかるだけでなく、強みも見つかる可能性があります。

 あるタクシー会社では、「ドライバーの高齢化」を弱みとして挙げていましたが、それによって何が起こっているのかをヒアリングしたところ「ドライバーの高齢化」によって「カーナビの操作が苦手なドライバーが多い」ことが分かりました。これは弱みとして認識してよいでしょう。

 反面、「ドライバーの高齢化」によって「流し営業のスキルが高いドライバーが多い」ことも分かりました。街中を走り回って顧客に乗ってもらう営業方法を「流し営業」と言いますが、経験が豊富になると、バス停で待っている人に乗ってもらうために、バス停の前をゆっくり走ったり、信号待ちの交差点で横断者と目が合うとさりげなく自社の屋根を叩いたりして、乗車を促すといったテクニックが備わってきます。

 強みを活かして、新規事業のテーマを設定することが、効果の高い経営革新計画の策定に繋がる可能性を高めます。よって、強みを沢山挙げるだけでなく、弱みも沢山挙げ、そこから強みを見出せないか検討することが必要です。

 今回のコラムでは強み・弱みといった内部環境を取り上げましたが、次回のコラムでは、外部環境の分析について述べていきます。

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