ガソリンスタンドの事業継続に経営理念が必要な3つの理由

経営理念

 私は21年間通算でガソリンスタンド運営会社7社に勤務しました。その7社の中で経営理念もしくはそれに準ずるものがあった会社は1社だけでした。その1社にしても経営理念という名の文章があるだけで、機能はしておらず、経営理念に反すると捉えられても仕方のない行動が多数見受けられました。

 経営理念とは「なぜあなたの会社は存在しているのですか」という質問に対する答えです。これがあると様々なメリットを享受できるわけですが、今回のコラムでは、ガソリンスタンドの事業継続になぜ経営理念が必要なのかを見ていきます。

ガソリンスタンドの事業継続に経営理念が必要な理由1:判断基準ができるから

 先日、私が登壇させていただいたセミナーにご参加された鈴木隆一社長率いる株式会社でん六の経営理念は「豆を究め、喜びを創る」です。でん六は「豆を究め、喜びを創る」ために存在しているということです。

 そこで、でん六で働く社員は日々の仕事で「豆を究め、喜びを創る」ことが出来るかどうか、を基準に意思決定をすることとなります。

 もっとも経営理念は抽象的な表現が多いので、判断基準として機能しやすくなるように経営理念を具体化した経営行動基準を設ける場合もあります。このような判断の拠り所があると、社員の行動に統一感や、その企業の特徴が表れ、差別的優位性の源泉となっていきます。

 ガソリンスタンドは、取り扱う商品のほとんどが顧客の目に触れませんので、サービス業としての側面も持っています。形のない商品を提供するサービス業にとって特に重要なのは接客であり、その店舗らしさが出た接客は差別的優位性をもたらすということです。

ガソリンスタンドの事業継続に経営理念が必要な理由2:神対応ができるから

 宮城県に本社を置くアイリスオーヤマ株式会社の大山健太郎社長は、「ユーザーイン」という哲学のもと、経営理念の浸透に努めてきました。

 このアイリスオーヤマのグループ会社にホームセンターを展開するダイシンがあります。2011年に発生した東日本大震災では多くの企業が被災しましたが、その中に、ダイシン気仙沼店がありました。

 被災後、店長の判断でダイシン気仙沼店は、来店客に灯油10リットルを無料で配布しました。テレビ局のスタッフにインタビューされた、ダイシン気仙沼店の店長は「クビになるかもしれません。でもそれでいいんです」と言いました。

 「ユーザーイン」という哲学のもと経営理念が浸透しているからこそできたこの神対応は、経営理念の重要性を示しています。ちなみにこの店長はクビになどならず、現在はダイシンの経営者を務めています。

 前述の通り、サービス業の側面を持つガソリンスタンドは接客が重要です。神対応と呼ばれるような接客は、アイリスオーヤマのように、経営理念がもたらします。

生き残るガソリンスタンドに経営理念が必要な理由3:組織的な販売ができるから

 「焼き鳥で世の中を明るくする」
 これは、焼き鳥居酒屋を展開する株式会社鳥貴族の経営理念ですが、経営理念は経営目的にもなり得ます。鳥貴族は焼き鳥で世の中を明るくするために存在している。これは、鳥貴族の存在理由であり、経営目的でもあります。

 つまり、経営理念の策定と浸透は、経営目的が共有化されることを意味します。

 米国の経営学者、チェスター・バーナード氏は、組織の成立要件として、共通目的、貢献意欲、モチベーションを挙げています。経営理念は、この共通目的に繋がることから、組織的な事業運営が可能となることを意味します。

 それは、ガソリンスタンドの現場において、属人的ではなく組織的な販売をすることが可能となる、ということです。

 今回のコラムでは、ガソリンスタンドの事業継続に経営理念が必要な理由として、1.判断基準ができるから、2.神対応ができるから、3.組織的な販売ができるから、を挙げました。

 経営理念がないガソリンスタンドはその策定を、経営理念があるガソリンスタンドはそのブラッシュアップやさらなる浸透を図り、生き残りに繋げていただければと思います。

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