サトウさんに学ぶガソリンスタンドで再来店を促す3つのポイント

リピーターの確保

 かつて九州方面へ1人で出張に出かけた時、サトウさんというタクシードライバーと出会いました。たぶん「佐藤」さんだと思うのですが、名刺をいただいたわけではないので、もしかしたら「佐島」さんかもしれませんし「左党」「SATOH」かもしれません。なので「サトウ」さんと表現します。ビジネスに思い込みは禁物です。
 
 さて、私がその日、九州の某空港に到着したのは21:00になろうかという時刻でした。当時喫煙者だった私は、禁煙の機内から解放され、喫煙所に向かったわけですが、喫煙所は営業時間(?)を終え、閉まっていました。

 その日のうちに、空港からタクシーで1時間以上移動しなければいけないわけで、ニコチンの誘惑に耐えながら、私はタクシーに乗りました。ドライバーのサトウさんに「どちらまで?」と訊かれた私は目的地を告げました。運賃は片道1万5千円程度であることは、事前に調べていました。

 今回のコラムでは、タクシードライバーを生業としているこのサトウさんの対応から、ガソリンスタンドで再来店を促す接客のポイントを見て行きます。

サトウさんに学ぶガソリンスタンドで再来店を促すポイント1:特別感を与える

 かつてのタクシーは、車内に灰皿がありましたが、近年、そのような車両はまず見当たりません。サトウさんが運転する車両にも灰皿はありませんでした。私はサトウさんに言ってみました。

 「途中、コンビニがあったら停まってもらえませんか。タバコを1本吸いたいんです」

 するとサトウさんは、車内で吸ってくださいと言うのです。「いいんですか?」と訊いた私に、道中は長いですし、多額の運賃を払ってくれるのだから、と言いました。これ、たぶんルール違反です。ビジネスに思い込みは禁物です。だから「たぶん」を付けました。

 お言葉に甘えて、車内でタバコに火を点けた私の体内に取り込まれたのは、ニコチンと、そして優遇されているという特別感でした。この特別感が後々大きな意味を持つことになります。

サトウさんに学ぶガソリンスタンドで再来店を促すポイント2:退屈させない

 車内でサトウさんと話すともなく話をしている中、私が野球好きだということを把握したサトウさんは、おもむろに車内のテレビを点けました。ちょうどプロ野球日本シリーズが放映されていました。それは私が長い道中で退屈させない手段としては非常に優秀なものでした。

 サトウさんは話題が豊富ではなく、口達者でもありません。たぶん。ビジネスに思い込みは禁物です。しかし、私が野球好きであることを把握した彼は、実は素晴らしい聞き手である可能性もあります。そして、この退屈させなかったことも後々大きな意味を持ちます。

サトウさんに学ぶガソリンスタンドで再来店を促すポイント3:お願いする

 1時間以上、タクシーに揺られて目的地に到着し、お支払をしようとした私に、サトウさんは「今度はいつ来られるんですか」と訊きました。来週の同じ曜日、同じ時刻に伺い、やはりタクシーで今回と同じ目的地に向かうことを伝えると、サトウさんは「来るのが正式に分かったら私の携帯に電話を貰えませんか」と言いました。

 そこで、私はサトウさんの名前と携帯番号を認識することとなります。そして、後日電話をし、翌週の同じ曜日、同じ時刻に空港に迎えに来てくれていたサトウさんのタクシーに乗り込むこととなります。

 なぜ私は翌週もサトウさんのタクシーに乗ったのか。それは、サトウさんに、1.特別感を与えられ、2.車内で退屈せず、3.お願いされたから、です。

 ガソリンスタンドで再来店を促すなら、まず、顧客を観察し、望んでいることを推測し、「お客さん、特別ですよ」と言える何らかのサービスをして差し上げることが重要です。もっとも、それは顧客が喜ぶサービスでなければ意味がありません。ビジネスに思い込みは禁物です。

 そして、待ち時間に退屈させない工夫が必要です。具体的には、給油中に車内清掃用のタオルを渡して待ち時間に車内を清掃していただく、洗車の待ち時間にチラシを渡して読んでいただくなどが挙げられます。もっとも、チラシの内容は顧客が興味深く読んでいただけるものでなければ意味がありません。ビジネスに思い込みは禁物です。

 さらに、お願いすることが必要です。「また来てくださいね、待ってますよ、絶対ですよ、来てくれなかったら私、死んじゃいますよ」とここまでしつこくお願いするのはどうかと思いますけど。熱意としつこさは紙一重です。ビジネスに思い込みは禁物です。

 サトウさん、どうしてるかなぁ。

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