スポーツ用品店の経営で売上・利益率を向上させるには

戦略の考え方

1.スポーツ用品店の経営で売上・利益率を向上させるには

(1)スポーツ用品店に訪れる顧客の心理

 スポーツ用品店に訪れる顧客の特徴のひとつに「親子連れ」というものがあります。購入するスポーツ用品はお子さんが使用するのですが、支払いをするのは親御さん、というパターンです。

 それまでは玩具で済んでいた自分の幼子が、徐々にスキル・本気度を向上させ、玩具ではなくスポーツ用品が必要となったことに対して、親は子どもの成長を喜ばしく思うとともに、「いつまで子どもと一緒に買い物できるのかな」というちょっとした寂しさも感じるものです。

(2)ニュースレターを工夫して効果を上げる

 そのような顧客の再来店促進策の一例として、ニュースレターの活用事例をご紹介します。このニュースレターは店舗で作成し、月刊で発行します。大きさとしてはA4の2倍のサイズであるA3を2つ折りにすると良いでしょう。

 掲載する内容としては、様々な内容があるはずですが、今回は、以下の内容をご紹介します。
 ・今月のご挨拶
 ・今月のトピックス
 ・今月のお客様
 ・イベント案内
 ・クーポン券

 「今月のご挨拶」は、その月に応じた店長からのご挨拶とします。通り一遍のご挨拶とならないように、最近の出来事などを盛り込んで記載したい部分です。
 「今月のトピックス」は、スポーツ用品のプロから見た、用品の選び方、使用方法、手入れ方法などを季節に応じて紹介したり、お買い得品の情報を記載したりしたい部分です。
 「今月のお客様」は、顧客の写真を掲載しますが、具体的な方法は後述します。
 「イベント案内」は、今後行うイベントの集客を目的として記載します。
 「クーポン券」は、ニュースレター右下の端に切取り線で囲い、割引や粗品プレゼントといった特典をつけます。

 このニュースレターのポイントは、店頭でしか渡さない、ということです。郵送をしたり、お届けしたりしないということです。

(3)再来店を促進させる仕掛け

 父親と子どもが来店し、子どものスポーツ用品を購入した場合を想定します。買い物をし、会計を終えた時に、スタッフが「記念にお父さんのスマホで写真を撮りましょうか」とお声掛けをします。

 父親としては「いつまで子どもと一緒に買い物できるのかな」というちょっとした寂しさを感じていますのでその思い出を残すために、また、子どもは用品を買ってもらった嬉しさから、多くの顧客が写真撮影に応じるはずです。

 なお、撮影の際に笑顔が出にくい顧客に対しては、上手な笑顔の作り方を参考に笑顔を引き出します。子どもには、買ってもらった用品を持ってもらい、父親と一緒の姿を撮影します。

 父親のスマホで撮影したら、「月に1度発行しているニュースレターにこの写真を掲載したいので、当店のデジカメでも撮影してよろしいでしょうか」とお声掛けをします。顧客が応じてくれるのであれば、当店のデジカメで撮影をした上で、現在配布しているニュースレターを手渡しするとともに「来月1日に発行する際、『今月のお客様コーナー』にお客様のお写真を掲載させていただきます。店頭でしか配布しておりませんので、ぜひ、ご来店ください」と申し添えます。

 自分の写真が掲載されたニュースレターは、やはり取りに行きたくなるものです。何か買うつもりがないまま、ニュースレターを取りに来られても良いわけで、店舗に足を運んでいただければ、購買確率はゼロではなくなる点がポイントです。

(4)顧客心理を活用した再来店促進策

 ロードサイド店舗は、原則として来店してもらわなければ商売は始まりません。よって、一度ご来店いただいたら、再度ご来店いただく仕組みがなければ、商売は厳しくなっていきます。その際に重要なのは、顧客心理を検討することです。今回の事例は、子供の成長とそれに伴う寂しさを通じ、思い出を記録するという付加価値を提供する事例でした。

 さて、貴店の再来店促進策は、顧客心理を活用したものになっていますか?

 【参考記事】

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