回らない寿司店の業績悪化が進む4つの理由

 回転寿司チェーン店の台頭、スーパーマーケットなど異業種による寿司の提供、持ち帰り寿司店の攻勢など、昔ながらの回らない寿司店を取り巻く環境は厳しさを増しています。

 ですが、業績悪化を外部環境のせいにしているだけでは状況は好転しません。今回のコラムでは、回らない寿司店自身が業績悪化を促進していないかという視点から、生き残り策を検証してみます。

ある海沿いの街に立地する寿司店

 出張で訪れた地の寿司店で食事をする機会に恵まれました。下の写真は、その店でいただいた刺身の盛り合わせ1人前です。

 下の写真2枚は、同じ地の2件の居酒屋でいただいた刺身の盛り合わせですが、やはり寿司店のそれは、専門性が高いだけあって、鮮度も盛り付けの色合いもレベルが違うことを認識させられました。

 また、卵焼きもおしゃれ心が利いています。

 このように顧客に提供する食事は素晴らしいのですが、回らない寿司店のウリがそれだけでは、業績悪化は今後ますます進むであろうと思いました。なぜそう思ったか、その理由は4つあります。

業績悪化が進む理由1:注文しにくい

 その寿司店の店内カウンターはL字型であり、その他にお座敷があり、なかなかの広さでした。私が入店した時点で、先客はカウンター席「L」文字の縦棒の位置に2人、ちょうどカウンター内の職人と相対する位置に座っていました。職人の背後の壁にはメニューが書かれた札が何枚も下がっています。

 「いらっしゃい、お一人様?じゃ、こちらへ」と私が案内された席は、カウンター席「L」文字の横棒の位置でした。この位置からではカウンター内にいる職人の背後に位置するメニューが見えません。

 案内された席に着き、おしぼりを出されて、「飲み物は何にしましょう?」「さぁ、何握りましょうか?」と聞かれてもメニューが見えません。かといって、メニュー表が出てくるわけでもありません。私は、渋々メニュー表を催促することとなりました。

 顧客が注文をするということは、店側は売上を得る、ということです。つまり、注文しにくいということは、売上が得にくい、つまり業績悪化が進みやすくなります。

 顧客を席に案内する際、基本はメニューが見える席へ、何らかの事情でそれができなければ、メニュー表を持ってくる。このような対応をして、注文をしやすくすることにより、業績悪化に歯止めをかけるきっかけになり得ます。

業績悪化が進む理由2:会話がない

 私がこの寿司店にいたのは約1.5時間でしたが、店舗スタッフと交わした会話は、注文と会計のやり取りだけでした。それ以外、カウンター内の職人はテレビを見ている状況であり、たまに私の方に目をやるだけです。

 カウンターを挟んで店舗スタッフと顧客が相対しているわけですから、会話のしやすいシチュエーションですが、特に会話がない。このような状況の中、顧客の滞在時間が長くなるわけもなく、客単価の上昇も再来店の可能性も低くなってしまいます。

 仮にその職人は会話が苦手だとします。この場合、会話が苦手だから会話が発生しないのではなく、苦手な会話を克服する策を見出そうとしないから、会話が発生しないのです。会話が発生しなければ弾みようもありません。

 そこで例えば、雑談の切り口である「キドニタチカケシ衣食住」を実践するだけでもかなり違った結果となるはずです。

 キ:気候
 ド:道楽(趣味・テレビ・映画・スポーツ)
 ニ:ニュース
 タ:旅
 チ:知人
 カ:家族
 ケ:健康
 シ:仕事
 衣:ファッション
 食:グルメ
 住:家・住まい

 これらを意識して、まずは話しかけてみることにより、会話が繋がったり、弾んだりする可能性が高まり、それが業績悪化に歯止めをかけるきっかけになり得ます。

業績悪化が進む理由3:メニューの偏りが大きい

 回転寿司チェーン店は、寿司の他にラーメンやスイーツ、フルーツなどを提供して幅広い客層を取り込んできました。これに対して、回らない寿司店はそのようなメニューは提供していません。

 店のコンセプトもありますから、安易にメニューの幅を広げる必要はないと思います。ですが、握り寿司だけにこだわりすぎるのもどうなのか、と感じました。つまり、いただいたメニュー表を見ると、海産物を使ったおつまみ系のメニューが、握りのメニューに比べてあまりにも少なく貧弱なのです。

 これでは、回らない寿司店でお酒を飲みたい顧客に対する集客力が高まるはずもありません。海産物を扱うプロとして、そのスキルを活かしたおつまみを充実させることにより、回らない寿司店でお酒を飲みたい顧客に対する集客力が向上でき、業績悪化に歯止めをかけるきっかけになり得ます。

業績悪化が進む理由4:虫が這いずり回る

 前述の通り、私はこの寿司店に1.5時間ほど滞在しましたが、カウンターを這いずり回る虫に2度遭遇しました。

 至極当然の話ですが、虫がカウンターを徘徊する店舗に長居したり、再来店したりしようとする顧客が多いはずはありません。

 生ものを扱う店舗ですから、虫は湧きやすいわけですが、だからこそ衛生管理に注力する必要があります。このような基本的な対応が業績悪化に歯止めをかけるきっかけになり得ます。

 ある回らない寿司店の事例から、客離れが進む4つの理由として、1.注文しにくい、2.会話がない、3.メニューの偏りが大きい、4.虫が這いずり回る、を挙げました。一般に顧客は、店舗への不満や落ち度を指摘してくれず、来店しなくなるだけです。

 上記の理由1と2はソフト面の理由、3と4はハード面の理由です。今回のコラムを参考に、自店がそのような状況に陥っていないか、ソフト面とハード面から検討してみていただき、業績悪化に歯止めを掛けていただきたいと思います。なお、上記4つの理由は、この店舗だけに見受けられた話ではなく、多くの飲食店に共通しているものであることを申し添えておきます。

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