あるガソリンスタンドで働くスタッフが発した以下のご質問に触れる機会がありました。
このスタッフが働く店舗はタイヤ販売に注力していますが、これまではある程度満足いくタイヤの販売実績を挙げていましたが、最近は業績が伸びなくなり日々苦戦しています。
現在の販売方法は、空気圧点検をして交換の必要があるタイヤはお客様に直接見ていただき、タイヤの状況・危険性、現在キャンペーン中であることを説明し、必要な方には価格表を差し上げています。また、特価商材は特にアプローチをしていますが、顧客の胸に刺さるセールストークはありますか?というものです。
この質問から感じるのは、口八丁手八丁で販売をしようという考え方です。そこで、今回のコラムでは、タイヤ販売において、テクニックに走りすぎた結果、逆効果となる販売手法について見ていきます。
1.タイヤ販売でやってはいけないこと
(1)脅しに走る
冒頭のスタッフは、空気圧点検をして、交換の必要性がある場合に、タイヤの状況・危険性を説明するとのことでしたが、この危険性の説明が脅しになっていないか振り返ってみる必要があります。
脅しと感じる感じないは、顧客次第という考え方もありますが、顧客が脅しと感じた場合は、スタッフが脅しと感じさせたわけで、私は100%スタッフ側のミスだと思っています。
顧客から代金をいただくための会話をしている場面で「そんなつもりで言ったわけではありません」は通用しないはずです。必要以上に脅すことなく、純粋に顧客の安全のため、という意識があれば、脅しと受け取られることはなくなり、販売に繋がりやすくなるのではないでしょうか。
(2)安さだけを訴求する
交換の必要性がある場合、現在キャンペーン中であることを訴求しているということですが、そもそも、キャンペーン期間中だからタイヤを買いに来た、という顧客はレアケースです。
たまたまガソリンスタンドでタイヤを点検してもらったら、交換を勧められ、たまたまキャンペーンでタイヤが安かった、というケースがほとんどのはずです。この「たまたまキャンペーンだった」というのが顧客としては引っかかるわけで、売るための方策としてキャンペーンだったことにしているのではないか、と疑いたくなります。
安いに越したことはありませんが、それだけを強く訴求することは、顧客としては売らんかなという姿勢が鼻につき、交換に二の足を踏む場合が多いのではないでしょうか。
(3)即決を迫る
慌てる乞食は貰いが少ないと言いますが、業績が厳しい中、すり減ったタイヤを見つけると他店で交換してほしくありませんから、何とか当店で、今この場で交換を決めてほしいと思うものです。しかし、その焦った姿勢は顧客にビンビン伝わり、顧客としては引きたくなるものです。
「他店も見てきてください」といった余裕が必要です。事実、私がガソリンスタンドの現場でタイヤを大量販売していた頃に、タイヤがすり減った車両に乗ってきた顧客に、交換の必要性や価格を説明したうえで、価格表を渡し、近所のタイヤ量販店と比較していただいてから決めてくださいと言うと、かなりの割合でタイヤ交換が即決したものです。逃げれば追うし、追えば逃げるのは恋愛も商売も同じです。鷹揚に構えた販売が重要です。
今回のコラムでは、タイヤの販売を促進させるためにやってはいけないこととして、(1)脅しに走る、(2)安さだけを訴求する、(3)即決を迫る、を挙げました。顧客の車両の空気圧を点検する前に、顧客の安全をサポートするという姿勢があるかどうか点検する必要があるでしょう。
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