生き残るガソリンスタンドの接客サービスとは

リピーターの確保

 「乗りものニュース」が実施したガソリンスタンド選びに関するアンケート結果が公表されました(回答者数1,060人)。以下はその内容の一部です。

 【質問】クルマに給油しようとガソリンスタンドを探すとき、フルサービスとセルフサービス、どちらを優先的に探しますか?
 【回答】「セルフサービス」と答えた方68.9%、「フルサービス」と答えた方5.9%、「どちらでもよい」と答えた方24.5%

 このようにセルフサービスを支持する顧客が圧倒的なわけですが、セルフサービスのガソリンスタンドであればどこでも生き残っているわけではありません。また、フルサービスのガソリンスタンドでも、高収益を誇っている店舗もあります。そこで今回のコラムでは、ガソリンスタンドの接客サービスに着目し、セルフ・フルに共通する生き残るガソリンスタンドの接客サービスを見ていきます。

1.生き残るガソリンスタンドの接客サービス

(1)接客は不要なのか?

 前述のアンケートでは、セルフサービスのガソリンスタンドを支持した方々に、さらにアンケートを実施していますが、その内容の一部が以下となります。

 【質問】セルフサービスのガソリンスタンドを優先的に探す理由はなんですか?(複数回答)
 【回答】「値段が安い」と答えた方77.9%、「自分で給油できて楽しい」と答えた方40.7%、「店員と話さなくてよい」と答えた方33.0%、「セールスを受けにくい」と答えた方31.6%

 このように、接客を嫌う顧客が一定割合で存在しています。ですが、セルフサービスのガソリンスタンドでは、給油の仕方、洗車機の使い方、タイヤの空気圧点検の仕方など、様々なことでスタッフは顧客に呼ばれます。つまり、スタッフに気兼ねなく給油したいというニーズとともに、困った時にはスタッフに接客してほしいというニーズがある、ということです。

 このことは、顧客はスタッフと接することが嫌なのではなく、質の悪い接客が嫌なのだという解釈ができます。よってセルフサービスにせよ、フルサ―ビスにせよ、ガソリンスタンドは接客の質を向上させていく必要があります。では、質の良い接客とはどのような接客なのか以下で具体例を見ていきます。

(2)接客時における雑談の重要性

 東京都町田市にある電気店「電化のヤマグチ」は、自店で商品を購買してくださった顧客宅を社員が訪問し、家電製品のお困り事を伺っています。ところがほとんどのお宅で困り事はない、と言われます。それでも継続的に訪問を続けていると、徐々に雑談をするようになってきます。

 その雑談の中には、旅行で長期間留守にするが庭に水をやる人がいない、タンスを動かしたいが高齢で動かすことができない、といった生活の困り事も含まれます。

 電化のヤマグチはこのような困り事の解決に無償で対応しています。家電販売店だから家電の困り事にしか対応しないのではなく、生活全般の困り事に対応し、関係性を構築した結果、周辺の家電量販店よりも高値であるにも関わらず、電化製品がどんどん売れていきます。

 つまり、雑談をきっかけとして困り事を解決しており、結果として露骨に売り込まなくても商品が売れていくこととなります。私の経験上、ガソリンスタンドにおいても同様で、雑談のできる顧客が多いほど客単価は高まる印象があります。では、どのようにすれば雑談ができるようになるのでしょうか。

(3)雑談の切り口

 雑談の切り口としては、以下の「木戸に立ちかけし衣食住」があります。

 キ:気候
 ド:道楽(趣味・テレビ・映画・スポーツ)
 ニ:ニュース
 タ:旅
 チ:知人
 カ:家族
 ケ:健康
 シ:仕事
 衣:ファッション
 食:グルメ
 住:家・住まい

 これらを雑談のきっかけにしますが、その結果は記録をして管理したいところです。そこで、ナンバープレートと接客履歴を紐づけして顧客管理をすることにより、雑談から得られた顧客情報が蓄積され、次回以降の接客に活かすことができます。もちろん、雑談すらしたくないという顧客の情報も登録し、相応の対応をすることも必要です。この管理方法については、以下のコラムを参考にしてください。

 繰り返しになりますが、顧客はスタッフと接することが嫌なのではなく、質の悪い接客を受けたくないことを念頭に接客力を磨いていただきたいと思います。

2.当コラムの解説動画

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