人手不足を解決したいガソリンスタンドが求人で訴求するべきこと

人材確保

応募者は何に不安を感じているか

 新人のアルバイトスタッフに「実践で覚えろ方式」で接するガソリンスタンドに人材が定着する可能性は低いでしょう。

 アルバイトの仕事を探している、ある方が発した以下の相談に触れる機会がありました。
 「ガソリンスタンドはしっかりとした研修がありますか? ある他のアルバイトを始めたのですが研修など一切無く、実践で覚えろ方式でした。新しくガソリンスタンドのバイトを探しているのですが、しっかりとした研修があるか不安です。」

 人手不足の中、新人スタッフの教育に手が回らない。しかし、教育しなければ新人スタッフは戦力にならず、いつまでも人手不足は解消できません。しかし、人手不足なので教育に手が回らない。

 この課題を解決し、教育体制が充実していることを求人広告で訴求すれば、応募者が増加する可能性が高まります。当コラムでは、この課題についてどのような解決方法があるのかを見ていきます。

新人スタッフを傷つけないために教育をする

 そもそも何故、新人スタッフの教育が必要なのでしょう。早く一人前にして店舗をスムーズに回すためでしょうか。それとも顧客に接客で不快感を与えないためでしょうか。

 このような回答に欠けているのは「新人本人」に対する視点です。

 ガソリンスタンドの求人広告を見て、応募し、採用された新人スタッフは期待と不安を抱いて初出社の日を迎えます。
 そして出社後に、この期待が打ち砕かれ、不安が現実のものになり、失望した場合に、新人スタッフは退職するでしょう。人生を開始したばかりの赤ん坊は小さく弱いように、ガソリンスタンド人生を開始したばかりの新人スタッフも体は大きいものの、内面は非常にナイーブで弱い状態でしょう。

 赤ん坊を守るのが親ならば、新人スタッフを守るのは店長を始めとした既存スタッフです。彼らが新人スタッフにろくに接さず「実践で覚えろ方式」を行うことは、赤ん坊を荒波に投げ入れるようなものだと思います。

 この新人教育の目的を踏まえた上で、人手不足の中、どのように教育を行うべきかを見ていきます。

店長は新人教育に携わらない

 人手不足に喘ぐガソリンスタンドの店長は、勤務シフトの作成、釣り銭の準備、商品の発注、本社とのやり取り、請求書の作成、業績の管理などなど顧客の来店が少なくても毎日が忙しいはずです。これに接客が加わると「いっぱいいっぱい」になるでしょう。ですから、店長が新人教育に当たることは避けるべきと考えます。

 仕事をしながら現地で行うトレーニングをOJT(On-the-Job Training)と呼び、多くのガソリンスタンドで実施していると思います。このポイントは、いつ、何を、どのように教えるか、を明確にした上でトレーナーを既存のアルバイトスタッフに任せることです。

 人は立場の近い他人の意見は受け入れやすいものです。店長という遠い存在よりも先輩アルバイトという比較的近い存在の人がトレーナーになることは、新人スタッフが指導内容を受け入れやすくなる効果があります。

 また、教えることは、より学ぶことに繋がり、トレーナーを務める既存アルバイトスタッフの知識・スキルの強化にも繋がります。

予め明確にするべきこと

 いつ、何を、どのように教えるか。これを明確にしないと、トレーナーを任された既存のアルバイトスタッフは「実践で覚えろ方式」に逃げ込む場合があります。

 これらを明確にし、既存のアルバイトスタッフのうち誰にトレーナーを任せるかを決め(1名である必要はありません)、店長とスタッフでその点の同意を得た上で、求人広告に「先輩のアルバイトスタッフがしっかり研修します」と記載することにより、応募に不安を感じている方々が応募しやすくなります。

 人手不足を解決したいガソリンスタンドが求人で訴求するべきことのうち、重要なものとして、新人スタッフにちゃんと寄り添えることが挙げられると思いますが、いかがでしょうか。

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